黒のタートルにジーンズが印象的なアップル創業者スティーブ・ジョブズ氏。そのプレゼンやスピーチは、聴衆を惹きつけ心を動かしてきたことで知られています。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では現役弁護士の谷原誠さんが、スピーチ等における沈黙や間の効用について、ジョブズ氏など著名人の具体的な例を交えながらわかりやすく解説しています。
あえて沈黙する
こんにちは。弁護士の谷原誠です。
私たちは、動いているものに注意が向きます。止まっているものと動いているものがあれば、動いているものを見てしまいます。絵を見るとき、私たちは、描かれているものに注意を向けます。空白部分には、ほとんど注意を向けません。しかし、その空白部分こそが、描かれているものを魅力的にしている場合もあります。
会話やプレゼンテーションにも同じことが言えます。
私たちは、話している声や内容に注意を向けますが、話の間に注意を向けることは少ないでしょう。むしろ、沈黙は悪と捉えているふしがあります。そのため、雑談でいかに沈黙を回避するか、というような本がベストセラーになったりもします。プレゼンテーションやスピーチにおいて、話の途中に「えー」「あのー」とか、頻繁に出てくるのは、沈黙を回避するためです。
しかし、会話やプレゼンテーションでは、沈黙や間を有効に使う方が、よほど効果的です。有名なところでは、スティーブ・ジョブズ氏が絶賛されたiPhone発表のプレゼンテーションです。冒頭、彼は、「この日が来るのを待っていた」と言った後、約7秒間沈黙し、聴衆の注意を惹きつけました。
マルティン・ルーサー・キング氏は、「I Have a Dream」と言った後、間を置いて、話し始めることにより、名言としました。みのもんた氏は、「クイズ$ミリオネア」で、「ファイナルアンサー?」と言った後、長い沈黙をもって注意を惹きつけ、同番組を人気番組にしました。小泉進次郎氏の演説は、間のオンパレードです。間をふんだんに取ることにより、聴衆の注意を惹きつけ、印象を強めていると言えるでしょう。
言葉の前に間を入れるか、後に間を入れるかで、効果が違ってきます。言葉の前に間を入れると、聞き手の注意を惹きつけることができます。言葉の後に間を入れると、その言葉を聞き手に印象づけることができます。
このように、間や沈黙は、決して悪ではなく、上手に使うことによって、効果的な会話やプレゼンテーションにすることができるでしょう。
沈黙や間に興味を持った方は、是非、次の本を読んでみてください。
『「沈黙」の会話力』(フォレスト出版)
今日は、ここまで。