元国税が指摘。チュート徳井は正確に申告すれば税金は半分の根拠

 

最大のメリットは収入を家族に分散すること

また芸能人が会社をつくることの最大のメリットは、身内親などを会社に入れて収入を分散するということです。よく、自分の妻や親を自分の事務所の社長にしていたりすることが多いですよね?

身内を会社に入れれば、会社から自分と身内に給料が支払われることになります。つまり、自分のギャラが一旦会社に入り、自分と家族がそれを分け合う、という形になるのです。日本の所得税は累進課税になっており、収入が多くなれば税率も高くなりますので、家族で収入を分散すれば全体の税率を大きく下げることができるのです。

たとえば、5,000万円稼いでいる芸能人がいるとします。この5,000万円を直接本人がもらえば、5,000万円に税金がかかってしまいます。しかし会社を作れば、5,000万円のギャラはまず会社が受け取るという形を取ります。会社はこの5,000万円が収益ということになります。そして会社は、家賃や人件費など様々な経費を計上します。会社の経費で5,000万の半分くらいはすぐに消すことができるのです。そうなれば、税金も半分ということになります。

また会社の経費は、ただ単に支出されただけではなく、自分に見返りがあるものです。会社の事務所を自宅マンションに置いておけば、マンションの家賃は経費で落とすことができます。そして自分の親族を会社の役員や社長にしておけば、その2,500万円をさらに分散することができます。一人あたりの給料は、普通のサラリーマン並みになります。

何もせずに5,000万円を受け取るならば、だいたい半分が税金に持っていかれます。が、会社をつくれば、うまくやれば10%~20%程度で済むでしょう。

徳井氏はほとんど節税アイテムを使っていない

で、徳井氏の件です。彼は、会社に身内を入れている形跡もないようで、ほかの経費テクニックもほとんど使ってないようなので、会社をつくることのメリットをほとんど享受していません

また彼は、無申告の状態を続けて、税務署の指導を受けてから税務申告をしています。税務署の指導を受けて申告をするということは、経理の内容を逐一税務署のチェックを受けながら申告書を作成するということになります。つまりは、税務署と一緒に申告書をつくっているようなものです。当然、税務署は厳しくチェックすることになります。普通に申告していればそれほど厳しく突っ込まれない部分も、厳しくチェックされてしまうのです。ほかの芸能人であれば経費で普通に落としているものでも、税務署がはねたケースも多々あったはずです。

たとえば徳井氏の申告漏れの中で「衣装代や旅行費用を経費として認められなかった」という話が出ています。これも、もし税務署の指導の後ではなく、普通に自分で申告していれば税務署はスルーしていた可能性があります。芸能人が、自前の衣装で出演するときにその衣装を経費として認められないということは、普通はないのです。また旅行費用もうまく理由づけさえしていれば、「福利厚生費」「交際費」「研修費」などで落とせた可能性が高いです。

ざっくり見積もって、普通に節税して普通に申告していれば、納税額は半分以下で済んだはずです。

徳井氏は、現金で2億円のマンションを購入したという話もありますが、芸能界の第一線で10年以上活躍しているのだから、そのくらいの資産は普通にあるでしょう。むしろ、ローンを組めばその数倍のマンションは買えたはずで、無申告だったためにローンが組めず現金で買うしかなかったものと思われます。銀行のローンを組む時は、必ず税金の申告書のコピーなどを提出しなければならず、無申告の徳井氏は申告書を提出できずローンを組めなかったはずです。

このように彼にとって無申告でいいことは何もなかったのです。まあ、今回の件は本当に「ズボラさが招いた」といえるでしょう。徳井氏には、このズボラさは直していただきたいものですが、このズボラさがあったからこその芸風だったのかもしれません。芸能人というのは「規格外の性質」が武器になるものですからね。世間のモラルと、自分の芸風とどう折り合いをつけるかが今後の芸能人に課せられた使命かもしれませんね。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)

image by: Osugi / Shutterstock.com

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年11月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

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