NY在住日本人社長が故郷・岡山で食べたもの、食べたかったもの

 

新大阪に行ったということは、関空特急はるかに乗ったということなのでしょうか。それしかないよね。地下の食堂街で、「お好み焼き」屋さんに入った記憶はあります。メニューのライスセットを思わず、写メ。岡山出身ですが、お好み焼きをおかずに白ご飯を食べる習慣は、同じ西日本でもありません。店内を見回すと、確かに、お好み焼きとごはんを交互に食べている人を何人も目にしました。糖質制限が叫ばれ続けている昨今。その心意気に感動すら覚えました。ちょっとカッコいい。打ち合わせをひとつ終えたら、新幹線に乗り、岡山駅まで移動します。故郷までは前述したとおり、45分。記憶もないほどあっという間でした。

岡山駅に到着したのは、夕方頃だったと思います。故郷には障害を持った兄がいるのですが、帰省のたび着なくなった服を運び込みます。それが結構重い。スーツケース1つ分にはなる。でも、今の時代、ユニクロの出現以降、アパレルなんて、これ以上ないほど安い消耗品。たぶん、送料だの運賃だの手間だのの方が高くついてるんだろうな、と思います。それでも捨てられないのはただの貧乏性か。スーツケースの重さで身体中が痛い。岡山駅内のマッサージ屋さんにその足で飛び込みます。持参の古着の合計額なんて、この90分のマッサージ代に消えちゃうんだろうなぁ…。

その日は駅横のビジネスホテルで宿泊します。夜は駅地下のグルメ街のようなところを歩きました。おっしゃれえなカフェを通りすぎた時、ふと貼られたメニューに立ち止まります。「NEW YORK BRUNCH」本場ニューヨークの定番ブランチ!の張り紙。日本でよく見かける「ニューヨークスタイルのナントカ」。特に飲食店に多いです。申し訳ないけれど、そのほとんどが、イメージで、実際のニューヨークとは違います。

ニューヨークスタイルのブランチってどうせ、フレンチトーストかエッグベネティクト、サイドに、グリーンサラダか、太切りの皮付きフレンチフライのことなんだろうなぁと思いつつ(実際のニューヨークで、そんなブランチ出してる店は稀です)メニューを見ると、メインはフレンチトーストかエッグベネティクト、サイドはグリーンサラダか、太切りの皮付きフレンチフライを選べるようになっていました。まんまだ。

通常ならば、絶対に入店しないのですか、なぜかこの時はふらっと入ってしまいました。食べてみると、はっきり言って、“本場”ニューヨークよりはるかに美味しいブランチでした。値段も半額か3分の1くらい。こっちを“本場”と謳った方がいい。食に関しては、憧れる必要性ゼロだということをそろそろ気づいた方がいい。どうせ、厨房で料理してる人間は岡山弁丸出しなんだから。関係ないけど。

えっぐベネティクトごときじゃ全然、満腹にならない僕はその足で「岡山中華そば」のお店に入りました。岡山中華そばって、ラーメンのことなんだけれど、確かに子どもの頃から、岡山にいた時は「中華そば」って言葉をよく聞きました。創業昭和二十五年の老舗のお店に入ります。めちゃくちゃ美味しかった。よく「ラーメンの種類は何味が一番好き?」って話題になると思います。だいたいみんな自分の出身地でのご当地ラーメンを答えます。九州出身の知り合いで「とんこつ」以外の答えを言った人間に僕はまだ会ったことがない。で、僕も結果、「岡山の中華そば」って答えます。

ここで誤解されたくないのは、郷土愛からの発言ではないということ。広島の人間が決まって「尾道ラーメン、最高ですよ!」と答えたり、北海道の人間が「やっぱ、ラーメンといえば、札幌ラーメンでしょ!」と言ったりするのと同類と思われたくない。はっきり言って、僕は食に関しての郷土愛はサラサラありません。岡山名物のままかり(各自でググってください)も、マスカットも美味しいと思ったこともない。ただ単に、たまたま1番好きなラーメンの種類が47都道府県の中で、岡山ラーメンだったということです。岡山出身だから好きだと思われるのがすごく嫌で、上記のことを力説すると、妻から「でも、子どもの頃から食べてるから好きになったんじゃないの?それって、岡山だから、だよね」と一刀両断に論破されました。グぅの音も出ない。

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