「スマートロック」という言葉を聞いたことがありますか?ITに興味があったり、家電好きな人などには当たり前のワードかもしれませんが、知ってはいるけど実際には使っていない、よくわからないという人が多いのではないでしょうか?しかし、こんなに便利な機能を使わないなんてもったいない!ということで、マーケティングコンサルタントの理央 周さんが自身のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』の中でスマートロックについて詳しく解説。さらにその先にあるサービスまで紹介しています。
売り上げを稼ぐには市場拡大を狙え~スマートロックの広がり!
スマホでドアを開け閉めできるという、便利な「スマートロック」が最近話題になっています。スマートフォンにアプリを入れておき、スマホ上の操作でドアの施錠・解錠が簡単にできるので、「便利だ!」ということで流行り始めているそうです。
特徴は、遠隔でも操作できることと、今「鍵がかかっているか、いないか」という状態が分かること。私もよくやってしまうのですが、ワンちゃんの散歩などでちょっと家を出た時に、「鍵をちゃんと掛けたかな?」と心配になることがあります。そんな時にも確認し、もしかけ忘れていたら施錠することができたりするので、便利といえば便利ですよね。
メリットとしては、スマホのアプリで全て完結するので、じゃらじゃらと鍵を持ち歩く必要もありません。荷物にもならず、また外出の時も忘れにくい、失くしにくいというメリットがあります。取り付けも、今ある鍵の上からちょっと被せるようにすれば良く、簡単に取り付けができることも普及した理由です。この辺に新製品導入時のヒントがありそうですね。
さらに、アマゾンやグーグルのAIスピーカーにも対応していて、「OKグーグル、鍵を閉めておいて」と声を掛けるだけで、中から施錠できるものまで商品化されています。もちろんデメリットもあります。スマホのアプリなので、電池が切れたら使えなくなりますし、Wi-fiのような電波も必要です。当たり前ですが、スマホそのものが無ければ家に入ることができません。
この話題を調べていたら、「とても困った・・・」という体験をした人のブログを見つけました。その方は「ゴミを出しに部屋から出た時はスマホを持っておらず、オートロックにしてあるのでそのまま締め出され、マンションの管理会社に電話しようと思っても電話がないので、交番に行き、それでも解決せず、友人がやっているバーに行きお金を借りて、ホテルに泊まり翌日管理会社に鍵をあけてもらった」というあまり笑えない体験談でした。
ここまで主に個人向けに普及してきたスマートロックなのですが、ここのところその活躍の場が、企業向けにも広がろうとしていることにも注目したいところです。
日経新聞(10月7日)の記事によると、ビットキーというスタートアップ企業が始めている試みがあるそうです。食材のネット通販会社ポケットマルシェで商品を注文すると、配送会社のココネットが商品を届ける日時を教えてくれて、その時だけ開けられる電子上の鍵が発行されてお客様の玄関に置くことができるようにするということです。いつ配達員が来て帰ったのかも記録できるそうです。セキュリティーの面、不安があるなどの壁はありますが、企業の側からすると再配達を減らすことでの、人出不足解消の一助になりそうです。
このような記録管理ができることで、オフィスの入退室にも使われるようにもなっています。その使われ方も変わってきていて、これまでは情報保護などのセキュリティ目的が主でしたが、合鍵の代わりに使うことができるので、働いた時間の管理にも使えるとのこと。まさに、ユーザーイノベーションですよね。こっそりと働く「隠れ残業」を防ぐことができる、という需要にも対応できます。
このようなことを実施するために、これまでは大掛かりなシステムを組んで社員全員にカードキーを発行する必要があったのですが、スマホアプリにすることでより安価にできるようになり、ベンチャーや中小企業にも広がりそうです。
シェア経済においても使われそうです。民泊では、その日だけのスマホでの鍵番号で、鍵の受け渡しをネット上でできるようになります。このように他業種間でひろがっていくと、さらに他の使い方も生まれ、多くの異業種間での連携ビジネスにもなるでしょう。
このスマートロックの広がりに学べる点は2つ。良い点としては、商売の基本である「お客様の不便や、お困りごとを“どけて”あげる」という点に忠実であること。それを、ITやネットを使って便利さを提供している点です。そしてこの利便性を対法人向けに広げる発想力と展開力も、学びたいところですよね。
もう1つは、IT やインターネットに「過度に頼りすぎると危険」だと警鐘を鳴らしてくれていること。スマートロックはこれから、セキュリティを含め超えるべきハードルが多くあります。便利さの代償として自分の個人情報は出ていきますので、私たち使う側としてもその点を十分考慮して、使うかどうかを決めると良いですよね。
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