少子化、消費者の購買意欲のダウンなど、商売人にとって景気の悪い言葉ばかりが目立つ昨今ですが、そんな中でも的確に顧客のニーズをつかみ、利益を上げている企業があります。そうした企業は市場や消費者のどこに注目しているのでしょうか? メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では今回、大盛りの「家庭用冷凍パスタ」を発売する企業が増えている点に注目。大手の日清食品と日本製粉が力を入れている理由と戦略に迫ります。
価格以外で差別化する。「家庭用冷凍パスタ」の大盛りに学ぶ価値の生み出し方
売上がジリ貧だ、新しいお客様が離れている、というような悩み、あなたもありますよね。
だからといって、安易な値下げや、広告やプロモーション、ホームページの改善など、小手先の手法に頼っていると、根本的な治療はできません。
今号では、売れない、という問題をどう解決するか、売り伸ばしたい、という課題をどう実践するのかを、考えてきます。
家庭用冷凍パスタの大盛りが伸びている!
ここのところ、家庭用の冷凍パスタに、大盛り・Bigを出す企業が増えているとのこと。
私も自宅で仕事をするときがあって、時間がないときの昼ごはんとかに、電子レンジでチンしたりして食べたりします。時間短縮にもなるし、冷凍庫に入れてあると便利ですよね。
最近は、味の種類もバラエティに富んでいて、ミートソースやカルボナーラ、和風の明太子クリームなどなど、ほぼなんでもあります。
また、パスタとしてのカテゴリーも、オーソドックスな「定番タイプ」、ちょっと高級感のある「プレミアムタイプ」と、Bigな「大盛りタイプ」と、かなりの種類が出てきています。
食品新聞によると、特に大盛りタイプの市場が伸び始めているため、大手の日清食品と日本製粉が力を入れてはじめた、とのことです。
日本製粉の方は最近、人気の「オーマイBig」シリーズに大盛りタイプを投入し、好調な売り上げ推移を見せています。
美味しく勝てる市場を探そう
マーケティングがまずすべきは、「美味しい市場」、すなわち大きい・伸びている市場を見つけ、そこに商品を出すこと。これが出発点になります。
売上が見込める大盛り冷凍パスタ市場を切り開こうというのは、正しい戦略です。
冷凍パスタの大盛り市場がここのところ伸びてきた背景には、核家族化で、おひとりさま消費と言われる、2、30歳代の若い層の「個食」が増えてきたことがあります。働く場所から家が遠く、忙しいので簡単に済ませたい、という需要です。
また興味深いのは、逆に高齢者層で子供たちが巣立って、夫婦二人という層の人たちが、1つのパスタを2人で分ける、というような食べ方も増えてきています。
このようなニーズを見つけ出してそこに商品を投入する、というのがマーケティングの王道です。
一方で、食品新聞の記事には、業界内において大盛りタイプは、1個あたりの利益が少ないため、自らの首を絞めるのではないか、という懸念も出始めているようです。
この懸念はある意味正しいのですが、ここで考えたいのが、事業の伸ばし方のステップです。まずは売上をあげ、次に利益をどう出し残していくか、を考えていくわけなので、ここで重要なことは、売り上げを上げる際に、価格の安さだけの勝負にならないようにするために、
何をするべきか? に知恵を使うべきということでしょう。