意図的に回避か。またも「桜を見る会」記事掲載なしの読売新聞

 

Q&Aで論点整理

毎日】は3面全体を使って、「なるほドリワイド」の形式、つまりQ&Aの拡大版とでもいう形式で「会」の問題点を整理している。見出しを以下に。

  • 桜を見る会 深まる疑問
  • 安倍内閣で拡大 誰が招待された?
  • 首相推薦枠1,000人 後援会からも
  • 前夜祭の会費5,000円 相場通り?
  • 不足分補充ならば公選法違反
  • 招待者名簿 なぜ残っていない?
  • 野党が資料求めた日に「廃棄」

「?」が末尾についているのが「Q」(質問)で、続く一行がそれに対する「A」(答え)になっている。この「3問3答」とは別に、3面の上段には「今年の『桜を見る会』を巡る経緯」と題して4月12日の「前夜祭」と翌日13日の「桜を見る会」、5月9日の共産党による資料要求と内閣府によるシュレッダー廃棄、11月8日の共産党・田村智子議員による追及について、模式図を含めた説明がなされている。

基本的には論点整理なので、特に記さなければならない特徴的な主張や強調点は見当たらない。敢えて言えば、次の一節。

Q 悪質なマルチ商法で知られたジャパンライフの元会長や反社会的勢力の人物も招待された疑いがあると聞いたよ。

 

A 元会長は自身の会社のチラシで15年の会に招待されたことをアピールしています。内閣府の資料から、元会長は首相か官房長官の推薦枠で招待された疑いも浮上しました。反社会的勢力が出席したのかは分からないままで、政府の説明不足は明らかです。

と。

官房長官発言は「不正確」

東京】は2面に3本の記事。1本目は「論戦ファクトチェック」とのタイトルで「反社会的勢力」の定義について。2本目は首相の地元・下関での野党の聞き取りについて。3本目は立憲民主党福山幹事長のNHK番組での発言に関するもの。見出しを以下に。

  • 桜を見る会の「反社会的勢力」 菅長官「定義ない」
    実際は 安倍内閣が07年定義
  • 首相の地元住民「優遇されすぎ」
    野党、聞き取り調査
  • ジャパンライフ招待 首相は国会で説明を 立民・福山氏

uttiiの眼

1本目。まさしく、「ファクトチェックにふさわしい素材が出てきたわけで、この扱いが嵌まっている。菅長官が「反社会的勢力について、さまざまな場面で使われることがあり、定義は一義的に定まっていないと承知している」との会見での発言に対して、《東京》は「不正確」との判定を下して次のように書いている。

2007年6月に犯罪対策閣僚会議が策定した指針で、反社会的勢力を「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人」と定義した。

問題は、この不正確で変梃な“解釈”が、「桜を見る会」に招待されていたジャパンライフの元会長が、反社会的勢力であるとかないとかについて安倍氏や菅氏が判断しない理由にされているというところだろう。ジャパンライフについては以前から国会で問題になり、消費者庁から行政指導を受けている。反社会的勢力の疑いが強いにも関わらず招待されたという事実の背後には、別次元での深いつながりが政府・与党関係者とジャパンライフとの間にあったのではないか、と想像する。実にスキャンダラスな事案であり、当然、安倍氏がどこまで認めるのかに注目が集まっている。

image by: TK Kurikawa / Shutterstock.com

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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