世界的エンジニアが苦言。日本を叩き潰すMMT理論のバラマキ政策

 

こんな話をすると、MMTの信仰者は「であれば、いくらバラマキ政策をしても大丈夫だ!」と喜ぶでしょうが、そんな簡単な話ではありません。税金の無駄遣いは、どこかで必ず誰かがつけを払わなければならないのです。

すでに日本には大きな歪みが溜まっています。特に大きな問題は、少子高齢化と非正規雇用者の増大です、今のペースで2040年~2050年になると、就職氷河期にまともな職に就けなかった大量の人たちが、十分な蓄えもないまま高齢者となり、彼らの生活を支えるのに十分な労働者が日本にはいない、という状況に陥ります。

一度そうなってしまえば、「赤字国債を発行してバラマキ政策で凌ぐことが不可能になってしまいます。地方のインフラが崩壊し、介護が必要な老人に対するサービスを提供することが不可能になります。最終的には円が暴落して、海外から安い人件費で人を雇い入れることすら不可能になります。

一見魅力的に見えるMMTに基づいたバラマキ政策は、結局は「一時しのぎの人気取りの政策」でしかないのです(だからこそ、「魅力的」なのです)。私が、トランプ政権がこれ以上続くのは耐えられないのと同時に、逆にMMTを掲げる左翼政治家が政権を握るのも困ると感じる理由がここにあります。

参考文献:”The end of inflation?” The Economist, Oct 12th 2019

image by: Wang Jui-Lin / Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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