【書評】元財務官僚が暴露。財務省が日本の財政再建を拒む理由

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日本の行政機関には様々な省庁がありますが、中には何となく似ているのかな? と思うものもありませんか? 例えば「財務省」と「金融庁」。省と庁の違いはあるものの、でも普通の人はその役割について明確な違いはわかりません。ちなみに、国の予算編成や、税制に関する制度の企画・立案、貨幣の発行などを行うのが財務省。金融政策の立案や民間金融機関の監督など金融機能を安定させるのが金融庁です。無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが今回取り上げているのは財務省。元財務官僚が「財務省は財政再建を拒んでいる」と語る、衝撃の内容が書かれた一冊を紹介しています。

偏屈BOOK案内:高橋洋一『日本はこの先どうなるのか』

71lArZBsjLL日本はこの先どうなるのか
高橋洋一 著/幻冬舎

日本では大学の経済学部は「文系」に分類されている。これがそもそもの間違いだと高橋先生は書く。経済学は、数字やデータ、グラフを使って考えたり分析したり計算したりする学問であり、本来なら「理系」に分類されて然るべき分野である。先生は数学科の出身だが、世の中のエコノミストのほとんどは文系出身者であり、計算を不得手としていると断じる。文系の私は数学バカだ。

経済学はバリバリの理系とは言えないかもしれないが、理数系の素養が必要だ。本来なら理系学部に分類されるべき経済学部が、文系学部に分類されている理由は、大学の「経済」的な要因によるところが大きい。経済学部を理系にすると、受験生を集められなくなり経営が苦況に立たされるからだ。大学経営は、受験料が大きな収入源になっている。経済学部を理系にしたらどうなるのか。

受験者数が激減して、それこそ大学の死活問題になりかねない。多くのエコノミストの予測が外れるのは計算ができないからであり、その背景は経済学部が文系に分類されていることにある。日本はノーベル賞受賞者を多数輩出しているが、ノーベル経済学賞を受賞した日本人はいまだかつて一人もいない。それは数学の素養がないことに、原因のひとつがあるのではないかと先生は考える。

財務省が消費税増税を上げたがるのは(この本は2016年刊)「でかい顔」をしたいからだという。財務官僚が予算総額を膨らませて、カネを自由に差配できるようにするためだ。要は大盤振る舞いをすることで各方面に恩を売り、その天下り先を確保したいからである。先生はかつて財務官僚だった。当時の幹部から「君は数字に強くてとても優秀だが一つだけ分かっていない」と言われた。

「予算は本気で削るな。相手が頭を下げに来る程度に削ればいいんだ。そこで予算をつければ感謝されるから」と。そこで「財務省にとって財政再建はしなくてよいのですか?」と聞き返すと「それは重要な“建前”だ」と躱(かわ)されびっくりした。誰もが財務省のおこぼれにあずかることを狙っており、そのベースになっているものこそ、財務省の持つ裁量権なのである。財務省は日本最強!

災害時のマスコミの自分勝手で無遠慮な報道姿勢は、いつも厳しい批判を受けているが、反省して改めることがない。災害報道は事前の仕込みがものを言う調査報道とは異なり、1秒でも他社に先んじて被災地に乗り込みたい一心で、現地で被災者の迷惑を一顧だにせず、バカな取材者たちが見苦しく暴走する。

「災害対策基本法」で指定公共機関に定められているのは、NHKの1社だけである。マスコミの取材行為が被災者の感情を害するものであれば、自らが定めた「放送法」の趣旨に反することになる。災害情報はNHKのものを他社も利用すれば、それで事足りる。役立たず民放の、レポーターどもの追放に大賛成だ。

高橋さんは、国税庁と日本年金機構を統合して歳入庁を創設すれば、徴収の一元化だけで10兆円の増収になる、消費税率のアップも必要なくなるという。それなら創設すればいいじゃんと庶民は思う。ところが、税務調査権という超絶の既得権を持つ財務省が絶対に、絶対にそうはさせない。財務官僚どもが日本の経済成長と財政再建を拒んでいるからだ。英国ではできたことだよ。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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