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会議室だけで終わらせるな。現場で使える実用的「企業理念」とは

経営者本人が、経営の想いなどを各々に直接伝えることはなかなか難しいものです。スタッフ全員に効果的に浸透させる「コツ」はあるのでしょうか。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では飲食店コンサルタントの中西敏弘さんが、作って終わりがちな「企業理念」を現場で生かし、さらに業績アップに繋げるための4つのポイントを紹介しています。

成果がでている「理念浸透」の方法をご紹介します!

理念をどう浸透させるか?クレドをどう現場に浸透させるか?こんな悩み、課題を抱えれおられる社長さん、幹部さんはたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

店が増え、人が増えてくると、以前と違って自分の考えが現場にまで伝わらなくなってきます。すると、理念やクレドの必要性を感じるようになるのですが、僕は、ご支援先で「理念浸透のためのコンサルティングを行っていますが、具体的に何がポイントになるのかを今回はお話ししたいと思います。ポイントは、次の4つ!

  1. 理念浸透は、理念つくりの段階から始まっている!
  2. 理念に触れる機会を作る
  3. 理念を全社員スタッフがアルバイトに説明できるようにする!
  4. 理念に基づいた行動の事例集をつくる!

1.理念浸透は、理念つくりの段階から始まっている!

理念は、基本的に「何のために会社が存在するのか?」と表現したものと僕は定義づけしています。ですから、「笑顔で頑張る」とか「~をめざす」という表現の理念は、その定義からはズレていると僕は考えています。

そのため、必然的に、「世の中に対して」「お客様に対して何ができるのか、何を提供するのかという表現になってくるはず。すると、理念を浸透させることが、「お客様に対して何ができるのか」というような考えが必然的に浸透するようになってくるのです。

そして、クレドは、僕は、理念を実現するために、会社として店としてどんなことを大切にするのかをまとめたものと定義しています。今は、クレドを新たにご支援先に作ってもらう場合、「わたしたちのお店」「わたしたちの商品(一品一杯)」「わたしたちの仲間」「わたしたちのお客様」と4つの項目でまとめてもらっています。これは、スターバックスが以前使っていた「OUR STABUCKS MISSON」から取り入れたものす。

この4つを各会社で作ってもらうと、スタッフは、「何を大切にすべきか」「何をしなければならないのか」がすごく明確になるようです。

また、当たり前のことですが、「理念・クレドは作って終わり」「額に飾るもの」ではありません。理念、クレドが現場に浸透し、現場でスタッフが、「理念・クレドを基に行動することができて、初めて、理念を作った価値がある」わけです。

であれば、理念をまず「知っておく、記憶しておく」ことがすごく大切になってきます。なぜなら、理念を覚えていないのに、理念を基に行動するなんてことができるわけないからです。なので、僕のご支援先では、基本的には理念・クレドは「暗記」してもらい、毎日朝礼や夕礼、会議の冒頭で、理念唱和(クレドを含め)を行ってもらっています。

そこで、重要になってくるのが、理念を「唱和しやすい文章にするということです。「~を作ること」や「~のために」などというような語尾で終わっていると唱和すると、なんとなく気持ち悪いものです。ですから、必然的に語尾が、「~します」とか「~する」、「~です」という語尾にしてもらっています(結構、これ重要です!)。

2.理念浸透の第1歩は、毎日の暗唱から!

先述しましたが、僕のご支援先では、毎日朝礼や会議の冒頭で理念唱和」をしてもらっています。実は、これが確実に実行できる会社と実行できない会社があり、正直、「実行できる会社ほど、業績がいいのです。

朝礼で唱和することを、「軍隊のようで嫌だ!」という社長さん、スタッフがいるのですが、「嫌がっている、嫌っている、面倒がっている会社ほど、本当に業績が悪いです。僕は、「理念唱和」ぐらいできない会社、店が、色々な対策を行っても結果なんかでるわけがないと考えています。ただ、覚えて毎日言えばいいだけだからです。

毎日暗唱している会社のスタッフは、最初から意味が分かって暗唱しているわけではなく、毎日暗唱することで、自然とその意味や意義を理解するようになり、そして、自然と理念・クレドに書かれた行動をとるようになるのでしょう。それが結局、「理念が浸透した状態」となり、「理念に基づいた行動」をとる事に繋がるのでしょう。なので、まずは、スタッフ全員に暗記させること、暗唱させることをお勧めします!

また、できれば社長さん、幹部さんが、理念をもとにした話を事あるごとに話すこともお勧めします。

昔、僕が務めていた会社で、転職したての僕に対して、アルバイトから「その行動は理念から外れていると思うので気を付けてください」と19、20のアルバイトの子が30歳の僕に指摘してきたのです。僕は、こんな若い子がなんで「理念」という言葉を使うんだ、とすごい衝撃を受けました。

そして、働いているうちに分かったことは、事あるごとに、社長さん幹部の方が理念に照らし合わせた話、会話が多いということです。すると、それを聞いている店長が同じようにアルバイトにも話すようになり、そして…、アルバイトたちも入りたての僕らや新人アルバイトにも「理念」の話を普通にするようになるようです。

だからこそ、理念の大切さ、クレドに照らし合わせてあの行動は良かった、ダメだったという話を日頃から、社長さん、幹部さんがすることをおすすめいたします。

3.理念を全社員スタッフがアルバイトに説明できるようにする!

何度も言いますが、僕は、理念クレドは使ってはじめて価値があるもの」だと考えています。だから、きれいな方針書に理念をまとめたり、きれいなクレドカードを作るよりも、極端に言えば、A4、1枚の紙にまとめただけでもいいと思っています。

それよりも、「理念を使えるようにする」ことが大切で、その一つとして、ご支援先の勉強会でやっているのは、社員スタッフ全員が「アルバイトにも分かるように説明できる状態にする」ようにしています。アルバイトが聞いても分かる状態にするためには、言葉の一言一句の意味を理解し、難しい言葉で説明するのではなく、より分かりやすい言葉で説明できるようなること重要になってきます。

グループミーティングを行うことで、理念・クレドの文章、ことばを掘り下げてもらい、各自で理念・クレドの掘り下げを行ってもらいます。その上で、社長さんから、何度も何度も理念・クレドの内容の深いところ、なぜ、そういう表現にしたのかなどを語ってもらい、理解を深めてもらいます。その上で、全員が「アルバイトに説明できる」ように、個別でテストしたり、全員の前で発表してもらったりしています。

人に説明できる状態になると、それだけ理解が進みますし、また、アルバイトにも理念をもとに浸透してもらう必要があり、全社員が説明できる状態になると、アルバイトへの理念浸透も進むわけです。

4.理念に基づいた行動の事例集をつくる!

「理念に基づいた行動」と言っても、理念をただ暗記して理解している状態だけでも、それは難しいようです。なぜなら、日々の行動で具体的に何をしていいか分からないからです。

そこで、ご支援先で行っているのは、「自社らしい行動」をまとめた事例集を作ってもらっています。「こんなときどうすることが、うちっぽい?」みたいな事例集で、満席時のお客様の来店時の対応、お客様からタバコがあるかどうか尋ねられた時の対応、ラストオーダー時の対応、雨の日の対応、などなど、様々なシーンの「うちらしい」対応を事例集としてまとめます。

ただ、「どう対応したらいいのか」の答えは書かないように指導しています。なぜなら、その対応だけを覚えてしまうと、スタッフがその対応を作業的にこなすスタッフがでてくるからです。ですから、事例集は、ミーティング時に活用し、「こんなとき、どう対応したらいいだろう?」というように、皆で話し合う事こそが大切だと皆さんに伝えています。

この4つが、「理念浸透」するために、日々、僕がご支援先で行っている(やってもらている)ことです。

理念浸透は一朝一夕でできるものではありません。毎日暗唱したり、定期的に勉強会で共有したりすることが大切であり、理念に沿った行動ができるような仕組みつくり(事例集の作成、評価表、アワードなどなど)も欠かせません。

ただ、理念が浸透すれば、本当に皆が同じ価値観で働けるようになり、そうすると、きっといつの間にか、以前と比べて「お客様満足度」が向上しその結果売上が上がるという結果につながりやすくなります。

この4つの投稿を参考にして、日々「理念浸透」を進めていただければ幸いです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 中西敏弘 【発行周期】 毎週2回

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