「おっしゃることは正しいのですが…」。こんな言葉が部下の口から出たら、注意が必要なようです。今回の無料メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ』では著者の佐藤しょ~おんさんが、「正しさを振りかざさず、相手に気分よく仕事を勧めてもらうノウハウ」についてわかりやすく解説しています。
良い歳して正しいことに拘らない
価値観のひとつに、「正しい」と「正しくない」があるわけですが、モノゴトの評価軸をこの2つしか持っていないと、人間関係がややこしくなります。特に中年期以降、人間関係での揉めごとを避けるべき年齢になって、この評価軸で他者を評価、批判すると、確実に人間関係が悪化します。
この場合の悪化とは、当人との関係性のことだけではなく、そんなあなたの振る舞いを見ている人の大多数との関係も悪くなるというか、簡単にいえば相手にされなくなるんですよ。
正しいと正しくないはロジックによる評価です。しかし人間にはロジックを超越した感情というもっと強い評価軸があるわけです。その結果、正しいけど嫌いとか、正しいけどやりたくないという反応もまたあるわけです。その状態で正しさを振り回して、相手を切りつけると、残るのは不快な感情だけということになるわけです。
特にビジネスの現場では、正しいことが優先されるわけで、だから上司としては
■ オレの言うことが正しいだろ!
って言ってしまうわけです。
もちろんこれは状況によっては仕方ないところがあるんですが、手持ちのカードがこれだけで、こればかりを使っていたら、あなたの人間としての評価が上がることはありません。上司の方からこの攻撃をされると、部下の方は絶対に勝てないですし、服従するしかなくなるんですよね。
そしてデキる上司というのは、「正しい」以外のツールを持っているモノなんです。その武器のバリエーションの広さが優秀さだったりするんです。
ビジネスって要は、自分が考えている通りのことを、部下が過不足なく実行してくれることがゴールなわけで、どちらが正しいのかを論破することがゴールじゃないんですよ。学生のディベートじゃないんですから。だから自分が正しいことに拘っても、ビジネス的には何も前に進まないんですね。
それなら酒でも呑ませて、気分を良くさせて仕事をしてもらった方がはるかにマシです。というか、これもまた上司が使える武器のひとつですよ。定期的に呑みに連れて行って、そこで毎回驕っておくと、大事な場面で頑張らなきゃならない感じがするでしょ。本当はイヤな仕事でも、とりあえずやっておくかみたいな気分になるじゃないですか。
褒めるなんてのも使える武器のひとつですし、要するに相手の感情を凌駕する何かを相手に与えることができれば、動かないということはないんです。
ここで注意が必要なのは、あなたの指示の後ろにロジックとしての正しさが存在することなんです。え?さっきは正しさを振り回すなって言ったじゃないかって?
あのね、あなたのやろうとしていることが、ロジックとして正しいのは絶対前提なんですよ。その上で、その正しさを振りかざすこと無しに、相手に気分良くやってもらおうというのがここでのゴールなんですから。正しくないことを、呑ませたり食わせたりした恩義を利用してやらせようというのは、これは最悪の一手ですからね。
つまり部下としては正しいということは分かっている、でも感情的に乗り気じゃないという状態で使う手段なんですよ。
「正しい」だけじゃダメ、でも「正しくない」はもっとダメ。ここが人間の面倒なところであり、実は楽しさでもあるんですよね。
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