韓国に誠意も道徳も通じぬ。韓国憲法裁判所の異常判決から学ぶ事

shutterstock_1556561204
 

日本では安倍外交の成果だとされる向きもある、2015年になされた日韓慰安婦合意ですが、先日、韓国憲法裁判所が「無効」という判断を下したようです。これを受け、情報戦略アナリストの山岡鉄秀さんは今回の無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』で、自分たちの常識が国際的に通用すると思い込んでいる日本人の甘さを指摘するとともに、今後の韓国との交渉における注意点を記しています。

韓国憲法裁判所の異常判決から日本人が学ぶべきこと

全世界のアメ通読者の皆様、山岡鉄秀です。

元慰安婦と称する韓国人女性たちが、2015年12月末に電撃的に行われた日韓慰安婦合意は日本政府への賠償請求権を阻むもので憲法違反だ」と訴えていた件で、去る12月27日、韓国憲法裁判所は「憲法違反ではない」として訴えを却下しました。

この報に触れて、「珍しく韓国の憲法裁判所が正しい判断をしたと勘違いをした方もいらしたようですが、とんでもない話です。

韓国憲法裁判所は、「日韓合意はそもそも書面の交換も国会の同意もない政治的な合意で、効力も不明だから、憲法違反にもなり得ない、それ以前の問題だ」と言っているのです。

つまり、「日韓合意など有効な合意ではないと言いたいわけです。ここまで政府間の合意を反故にできる国も珍しいですね。心から呆れます。

文在寅大統領の説明も支離滅裂です。「合意について破棄したり、再交渉も求めないが、裁判所の判断は尊重する」なんて意味不明です。日韓慰安婦合意に基づいて設立された財団も一方的に解散してしまいました。

これに対する日本政府の反応は、「引き続き、慰安婦問題をめぐる日韓合意の着実な実施を韓国政府に求めて行く」だけです。

この状況について、皆さんはどう思われますか?

「この問題は決着済だと言えるようになったのは安倍政権の外交成果だ」と主張する人達がいます。「韓国政府は自分たちが約束を守らない信用できない国だと自ら世界に証明して恥をかいたのだから、日本の勝ちだ」と主張する人達もいます。私ははっきり言って、どちらの主張も間が抜けていると思います。

私と私の豪州の仲間たちは、2015年の日韓合意に対して当初から一貫して批判し、反対して来ました。

これに対して、「日韓合意に反対する保守派は、安倍総理の深慮遠謀がわからない馬鹿だ。韓国はきっと合意を破る。そうすれば、韓国が仲介したアメリカの前で恥をかくのだ」と主張する人達がいました。さらに、「さっさと10億円を韓国に払ってしまって、道徳的優位に立った方がよい」という人達までいました。

日本人はつくづくナイーヴな民族です。自分たちの常識が国際的に通用すると思い込んでいるのです。

とか道徳」は日本人にとって重要な概念ですが、日本の国境を一歩出てしまえば、それほど当てにならない概念もありません。ましてや、韓国に対してそれらの概念を持ち出すことほど無意味なことはありません。

はたして韓国は、予想通りに約束を反故にしました。しかし、彼らはそれを恥だとはもちろん思っていません。そして、肝心のアメリカも日韓合意肯定派が期待したように「メンツを潰された」と韓国を叱責することもありません。なぜでしょうか?

それは、「日本政府が自ら戦時中に韓国人女性に対して酷いことをしたと公式に認めたと解釈されているからです。いや、そんなことは言ってないし書いてない、と言っても無駄です。

あのような曖昧な言い方をしたら、印象としてそう取られてしまうのです。総理官邸は外務省の作文(日本語)がどう英語に訳されていて、それが相手にどういう印象を与えるか、まったく無知であり、それをチェックする機能もありません。これが致命的な構造的欠陥です(これに関しては拙書『日本よ、もう謝るな(飛鳥新社)』で詳しく説明してあります)。

print
いま読まれてます

  • 韓国に誠意も道徳も通じぬ。韓国憲法裁判所の異常判決から学ぶ事
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け