「日韓慰安婦合意は無効」とする事案と同様、「朝鮮半島出身労働者問題」においても、日本の美徳を急所弱点とみなす韓国サイドが、無理な要求を押し付けるという事態となっているようです。これらを受け、情報戦略アナリストの山岡鉄秀さんは今回の無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』で、改めて隣国の粘着質的交渉スタイルを考察した上で、日本は「解決しない」という選択肢を増やすなど交渉上の発想転換が急務であると記しています。
朝鮮半島出身労働者問題を解決する必要はない
全世界のアメ通読者の皆様、山岡鉄秀です。
先日、ある民放の報道番組を観ていたら、朝鮮半島出身労働者問題について議論していました。
天皇陛下侮蔑発言で知られる韓国の文喜相(ムン・ヒサン)議長が先の日本企業に賠償を命じた元半島出身出稼ぎ労働者訴訟に関して、「日韓の企業と個人の寄付金を賠償金代わりに原告に支払う」という案を提唱し、現在韓国の国会で立法化への準備が進められているとのことです。これについて、有名な新聞記者の方が次のような発言をしていました。
「日本側の原則論はもちろんだし、私もそれを支持します。しかし、韓国にも韓国の原則があるわけだから、どうにかしないと…」
つまり、妥協案を考える必要がある、ということですね。日頃舌鋒鋭いこの記者がこのような発言をしていることに、私は少なからず驚きました。そして、「ああ、この人も日本人なんだなあ」と思いました。
和を尊ぶ日本人は、物事は歩み寄って解決しなくてはならない、と本能的に思い込んでいる節があります。それは日本的美徳ですが、国際的には弱さに映ります。だから相手はストーカーのようにどんどん詰めてくるのです。
もし相手の原則が根本的に間違っていたら、歩み寄ることなどできないし、歩み寄るべきではありません。
韓国の原則とは何でしょうか?それは、1965年の日韓基本条約と請求権協定では解決していない、という前提です。なぜ解決していないのでしょうか?日本による韓国の併合は違法行為であった。その違法行為に対する賠償は未だなされていない、という立場です。
文議長の提案を受け入れることは、この韓国の前提を受け入れることに繋がります。そんなことをしたら、原告が無制限に増えてしまいかねません。したがって、絶対に受け入れるべきではありません。
それではいつまで経っても平行線で解決しないじゃないかって?この問題は既に完全に解決済みなのだから、解決しなくてはならない問題は存在しません。たとえ妥協を装っていても、韓国サイドの原則を前提とした解決を目指す必要は皆無です。
つまり、解決する必要はないのです。和解する必要もありません。
もし、日本企業の資産が売却されるようなことがあれば、徹底的な対抗措置を取るまでのことです。日本企業もそんなリスクの高い国からはさっさと退却すべきです。
ちなみに、肝心の原告たちはこの案に反対だそうです。
日韓議連の河村武夫幹事長(自民党)は韓国中央日報のインタビューに応じ、「解決策はこれだけだ」と発言したそうですが、日韓議連が賛同する解決策なら、なおさらやめた方がよいでしょう。彼らが日本の国益を念頭に動いているとは思えませんので。
「問題があれば、常に歩み寄って解決しなくてはならない」と思いこむのは止めましょう。ときには解決しなくてもよい問題もあるのです。
日本人の美徳は国際政治の世界では往々にして弱点と見なされ、付け込まれるのです。日本人は発想を転換する必要があります。
(山岡鉄秀:Twitter:https://twitter.com/jcn92977110)
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