名古屋市小5いじめ事件。学校側と教育委「報告」の不可解なズレ

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名古屋市の小5男児が十数人から金銭を要求されていたという事件が「いじめの重大事態」に認定されましたが、そこに至るまでの不自然な経過から、市教育委員会の隠蔽体質が指摘されています。今回の無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では、教育委員会が隠蔽体質を持っている場合、学校側は忖度から保身に走らざるを得ない構図があると指摘しています。

教育委員会の奮起を期待する

先日のニュースでは、昨年の12月に報道された小5男子のいじめ問題について、名古屋市教委は8日、児童がお金を持ち出した総額が15万円、そのお金を使った児童は十数人にのぼったことを第三者委員会に報告したということです。また、男子児童が持ち出した15万円のうち、約9万円を同級生が使用したとみられ、この分を、同級生の保護者たちが弁償することで合意したと説明しました。

この事件は、名古屋市の小学校で、小5男児が同級生に金銭を要求された事件で、名古屋市教育委員会は「いじめの重大事態」に認定したことを2019年12月2日に会見を開いていました。その時の会見では、2019年8月に金銭要求が始まり、同級生6人から「金を持ってこないと一緒に遊ばない」と脅され、加害者らは、フードコートで飲食をしたり、ゲームセンターで使ったほか、児童にスマートフォンのゲームなどに使えるプリペイドカードを買わせたりなどしていました。持ち出し回数は十数回におよび、総額は10万円から20万円とみられるという内容でした。母親が、500円玉貯金の貯金箱からお金が減っていることに気がつき、担任に相談したことで発覚しました。

今回の報告で、加害者が当初の発表の「6人」ではなく十数人にものぼることが明確になりました。しかしながら、10月に発覚して、12月の会見までに学校、及び教育委員会はかかわった児童が何人だったのかについては分かっていたはずですし、また、弁済がなされていないことも知っていたはずです。発覚後には、小学校側は市教委に「重大事態ではないか」と早々に連絡したにも関わらず、市教委は認定せず、その後、保護者の納得が得られなかったことや、マスコミの報道の影響を受けて、12月2日に「重大事態」と認定しています。さらに報告義務があるにもかかわらず、この事件が12月2日まで市長に報告されていなかったことも分かっています。河村市長は記者の質問に「子どもさんを日本一応援しようと言っとるんですけど、わしに報告がなかったのも残念ですわ。情けないというか…」、「隠蔽体質なんじゃないですか」と答えています。

このような教育委員会の姿勢、考え方が、いじめ問題を蔓延させている大きな原因と言えます。学校という組織は、教育委員会の姿勢を「忖度」して、いじめに対しての対応を変えてしまいます。学校も「保身」を考えますし、教育委員会に対して「従順」で、反旗を翻したりすることはありません。教員委員会の基本姿勢が「隠蔽」ならば学校も「隠蔽」を選択するのです。そのような旧い考え方に染まっている教育委員会の下にある学校では、被害者であるいじめを受けた子供たちやその保護者が苦しんでいます。

逆に言えば、本気でいじめ問題に取り組み、いじめを解決しようという姿勢を有している教育委員会の下ではいじめが起きても、早期発見、早期解決ができるようになっていきます。保身ではなく「被害者の立場で考える教育委員会の活躍を心から期待したいと思います。

今年も、悩み、苦しんでいる子供たちのために少しでも力になってまいりたいと存じます。冬休みが終わりました。残り時間が少なくなりました。先生方の異動も、4月からのクラス編成も検討されはじめる最終学期です。いじめに対しても、「もう少し様子をみてみようと思っていると、何もできなくなってしまうことがあります。なにか気になることがありましたらご遠慮無くご相談いただければ幸いです。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

image by: Shutterstock.com

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【著者】 いじめから子供を守ろう!ネットワーク 【発行周期】 週刊

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