障がい者の学びの場で感じる「学び」=「勉強する」の狭い理解

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特別支援学校を卒業したあとも地域で学ぶことができる「障がい者の生涯教育支援」の取り組みが、徐々に広がっているようです。シャローム大学校のオープンキャンパスを今年度7回実施した引地達也さんが、その中で見えてきた支援する側の先入観など、いくつかの課題について、メルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』で綴っています。引地さんは、新しい「学びの概念」に触れた福祉施設の側の戸惑いに理解を示しながらも、あきらめることなく推進していかなければならないと前を見据えます。

オープンキャンパスでの少しずつの前進で見えてくる地平線

2019年度の文部科学省事業「学校卒業後における障害者の学びを支援する実践研究」は、シャローム大学校での全7回の「オープンキャンパス」と重度障がい者向けの訪問講義を中心に行い、先日第7回目となるオープンキャンパスを実施し、本事業をほぼ終えた。

オープンキャンパスは、障がい者が地域で学ぶために、登壇する人がどのような学びを提供できるのかと、障がい者の方々を学びに導くために情報アクセスをどのように確保するのか、そしてハード面としての場所をどのように確保するのかが大きな課題となる。

その課題の解決に向けて取り組んできたオープンキャンパスは今年度で2年目だが、昨年度よりも前進したと思いつつも、やはり前進した分、見えてきた課題も新しい。今年度事業を整理して、2月開催の最終報告会で総括し、最終報告書でも新たに見えてきた地平線のようなものを示したいと思う。

昨年度、シャローム大学校の本拠地である埼玉県和光市を中心に行ったオープンキャンパスは、今年度の取組みとして他地域での開催の可能性を探る事も念頭に、和光市のほかにさいたま市で2回開催したほか、長野県佐久市、静岡県伊東市でも行った。障がい者が生涯を通じて「学ぶこと」が普通にできるようにするために、どの地域でも障がい者が各自治体のほかコミュニティが開催する生涯学習に気軽に参加できるようにするための方策の探究である。

この新しい取り組みを2年通じて分かっているのは、「障がい者が学ぶ」ことへの理解と納得へのハードル=障壁である。特に知的障がい者が「学ぶ」ことに戸惑う人も少なくない。それは「学び」は「勉強する」ことを前提に考えてしまっているからであり、その学びの概念を広く捉えなければ、障がい者の学びへの理解は一歩も進まない。

オープンキャンパスを実施することで知り合い、触れ合った自治体関係者や当事者、当事者家族や関係者、支援事業所の方々の多くはその数だけ、その新しい「学びの概念」について考えたはずだと思う。地域で生きる障がい者が支援施設に通所したり、入所している中でも、それぞれに「学びの可能性」はあるはずで、その可能性をあきらめるのではなく、追究することが、このオープンキャンパスの社会的な役割だと考えている。

その役割を全うしようと動いていると、案外福祉領域で支援する側が障壁になることもある。この福祉領域ではない「学び」の概念を入れることに本能的に抵抗を示すケースも見受けられる。おそらく、新たな価値観は管理に支障をきたし、適正な施設の運営が妨げられるとの感覚かもしれない。もちろん、事故なく、リスクを回避することを重点に置く施設の考えも理解はできるが、ここは福祉も「学び」を推進する役割も、当事者視点で考えていきたいと思う。

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