バイオテロ説が急浮上。新型肺炎の蔓延が映す破滅へのプロローグ

 

しかし、ここでどうしても不可解な疑問が出てきます。

さて、このようなシナリオ、本当に偶発的なウイルス感染“のみ”で引き起こされるものでしょうか?

詳しくはあまり表立って言えませんが、いくつかの不可解な状況が存在します。

一つ目は、武漢市およびその周辺には、公式には発表されていませんし、中国当局も決して認めませんが、中国人民解放軍の生物兵器研究開発施設が2か所存在します。そしてその一つは、噂の海鮮市場の近くに立地しています。

未確認情報ですが、そこで生物兵器として開発されていた新型コロナウイルスに、職員や関係者が誤って罹患し、武漢市の感染源となったという可能性です(誤って施設で菌に触れてしまい、それに気づくことなく、普段通りに海鮮市場を訪れていて、菌をばらまいていたというシナリオ)。

この場合は、生物兵器の工場の存在の有無は横に置いておいたとして、感染源が、野生動物ではなく、人間だったというシナリオで、その後、人に一気に感染が広がっており、かつ感染力が異常に強いことから鑑みて、大いに可能性のある推論だと考えられます。

二つ目は、「何者かによるバイオテロ説」です。これについては、中国当局が自ら自作自演することは非常に考えづらいので、“だれか”ということになりますが、誰がそんなことをし得るのかという点については、完全な憶測になり、それは要らぬ懸念やデマを生むことになりますのであえてここでは挙げません。

とはいえ、中国の自作自演である可能性も打ち消せないのは、WHOによる非常事態宣言発出を必死で阻止する姿勢が見えることです。

WHO事務局長御一行様が北京を訪問し、習近平国家主席とうやうやしく会談する様子が配信されましたが、この例を見ない高レベルでの対応(つまり習近平国家主席が直に会うという対応)は、要らぬ疑念を抱かせます。通常は、李首相対応でしょうし、今回の対策でもチームのリーダーは李首相が努めていますので、WHOの事務局長が相手であれば彼が面会するのが通例でしょう。

しかし、問題の深刻さのアピールなのか、WHOを自分サイドに付けておくための過剰接待だったのか、今回については異例中の異例で、習近平国家主席が直に会っています(ちなみに、中国政府の“友人たち”曰く、「まあ、今回の件は非常に深刻だからねえ…でも、習近平国家主席が直に会うのは確かに珍しい」とのことでした)。

その際に習近平国家主席から「非常事態宣言を出すような事態にならないよう、情報共有に努め、またWHOの専門家の派遣についても歓迎する」という発言がありました。先週のWHO緊急会議で非常事態宣言の発出が見送られた背景には、実質的にドナー国第1位になっている中国への過剰な配慮があったと見られます。言い方を変えると、中国政府からの圧力を受けての措置であった可能性が否定できません。バイオテロそのものを自作自演することは考えづらいのですが、非常事態宣言によっていろいろな経済活動が制限されると同時に、国際社会から中国に対する非難が激しさを増す危険性から、中国政府からの“要請”はあったものと強く推察します。

しかし、このバイオテロ説を打ち消せない理由は、私が国連で紛争調停官をしている際に、ABC兵器(核、バイオ、化学兵器)の軍縮と不拡散のお仕事にも携わっていたのですが、その際に専門家たちから示された分析結果の内容ゆえです。

核兵器(Atomic)については、私たちは、広島と長崎の悲劇の後、その威力と非人道的な性格ゆえに、軍拡競争と並列する形で、多くの人的資源と資金を投入して、コントロールする術を確立しました。今でも技術革新は進んでいますが、使用すると放射能反応という形ですぐにバレてしまうこともあり、実際に使用される可能性はほぼ無いと言っていいかと思います。とはいえ、私もこのメルマガで何度も朝鮮半島に使われる可能性を示唆してはいますので、可能性がゼロとは言い切れませんが。

化学兵器(Chemical)については、最近ではシリアでの使用が疑われていますし、以前、日本でも地下鉄サリン事件で用いられたため、まだ身近に存在する現実味を帯びた脅威ですが、こちらも使用されると、瞬時にその使用が検知されてしまうため、使用の抑止につながると同時に、仮に使用された場合でも、対策を迅速に打てるという“利点”があります。

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