バイオテロ説が急浮上。新型肺炎の蔓延が映す破滅へのプロローグ

 

しかし、B(バイオ)の場合、今回の新型コロナウイルスや、2003年に世界を恐怖に陥れたSARSコロナウイルス肺炎の世界的感染のケースでも分かるように、感染してから発症するまで1~2週間ほど潜伏期間があるため、菌の保有者の移動範囲が広がり、接触する人数が広がりやすい状況下では、一気に感染が広がることになってしまいます。つまりスーパースプレッダーと呼ばれる一人で数十人を感染させる存在が増える可能性が高まります。特に移動手段の高速化とネットワーク化が進む中、感染者の捕捉が非常に困難な公衆衛生上の大きなチャレンジを作り出してしまいます。

また、生物兵器は「貧者の核兵器」と呼ばれているのを耳にされたことはあるでしょうか?化学兵器もそうなのですが、比較的安価に安易に製造ができると言われますが、公衆衛生が行きわたっていないコミュニティでは、様々なpoor sanitation起源の病気の蔓延に紛れ込ませて、一気に拡大するという効果が期待され、そして時間をかけて、広い範囲に広がり、多くの人たちに影響を与えるという特徴を指して、そのような不名誉なあだ名がついているそうです。

2001年の同時多発テロ事件発生の際、安全保障コミュニティで恐れられていたシナリオは、Twin Towersなどに激突した航空機にABC兵器、特にBio兵器が搭載されていなかったかどうかという点でした。幸運なことにそのような事実はなかったのですが、その後の分析のプロセスの中で恐ろしいシナリオが語られました。

それは、「アメリカなどに本格的にテロを仕掛けるのであれば、どこかで強力な感染力のあるウイルスに感染しておき、その感染者をアメリカ行きの航空機に乗せ、その際に荷物に持たせた菌のサンプルを、NYなどの地下鉄の駅でバラまかせる。そうすることで、1か月の間にNYを中心に最低200万人の死者が出る」という恐怖の分析結果です。その後、空港などで搭乗の際に、非常に検査が厳しくなったと思いませんか?この分析結果も一因だと言われています。

余談になってしまいましたが、意図してか否かは分かりませんが、このシナリオで描かれたような状況が今、新型コロナウイルスを通じて、世界で起こっているとしたら…。

私はいろんな種類の紛争や安全保障上の懸念事項の調停や交渉に当たってきましたが、残念ながら、今回の新型コロナウイルスの広がりが、バイオテロだったとしたら、私には調停する術がありません。しかし、29日にWHOからは、事務局長名でスタンバイ依頼がありました。悩ましい限りです。

実際のところはどうであったにせよ(本当に不幸なパンデミックである可能性も否めません)、大事なことは新型コロナウイルスに感染しないこと。そのためには、インフルエンザ予防のケース以上に、手洗いとうがいの徹底と、外出時のマスクの着用、そしてWHOやCDCの専門家曰く、アルコール消毒が有効とのことですので、しっかりと予防に努めましょう。それと十分な睡眠と休息もお忘れなく。

新型コロナウイルスとの戦いは短くても春先まで続きそうな長丁場ですが、私たちの心理がネガティブモードに入り、結果として社会や経済の悪循環、相互不信感からの争いなどを招かないように気を付けたいですね。

2020年、国際情勢にとっても、日本にとっても、非常に試練に満ちた1年になってしまいそうです。

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