TwitterやフェイスブックなどのSNSに、お店や企業へのクレームを書き込む…。そんな現象が増えていますが、果たしてそれは「正答」なのでしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、自身も実践しているという「怒りは修まり、学びだけが残る」正しいクレームの入れ方を記しています。
クレームで「交渉術」を学べ!
父親の荷物を紛失した航空会社にクレームを入れたものの、返事が来ないので、SNSに書き込んだ人が話題になったことがあります。企業やお店に対するクレームを、公のメディアであるSNSに書いてしまうことの是非が議論となっていました。
私は、クレーマーはダメですが、正当な苦情としてのクレームはどんどん言うべきだと思っています。その理由は……。
最近の企業やお店はプロ意識が低く、“手抜き”が横行しています。商品・サービスすべてにおいて、手抜きなのです。あいさつやしゃべり方は必要以上に丁寧ですが、何か問題が起きると、「逃げる」「ごまかす」が目に余ります。見せ掛けの商売人ばかりだと言えます。極論だと思われるかもしれませんが、それぐらい腹の立つことが多い、ということです。
先のSNSに書き込んだ人の気持ちはよくわかります。実際に、苦情を放置する企業やお店は多いのです。私も何度か経験しています。この人の場合は、返事をもらえないことに腹を立て、SNSに書き込んだのですから、企業側の自業自得です。
しかし、できればもう一度連絡をしてみるべきでした。なぜ返事をもらえないのかを強くアピールすべきです。私の経験から言うと、最初のクレームを放置していても、二度目のクレームには必ず返事が来ます。お客さまをナメているとも思える対応ですが、取り敢えず問題は解決し、この件を終わらせることができます。この二度目の返事で誠意が感じられない場合は、さらに怒りを込めたクレームを入れるのです。これで、ほぼ気持ちは修まります。
私は、こうしたやりとりを何度も経験し、あるノウハウを手に入れました。誤解されては困りますが、クレーマーのように金品を要求したりするものではありません。誠意ある謝罪を求めるノウハウです。いまの社会が忘れてしまっているものを思い出して欲しいから、クレームを入れるです。それは、正直で、真面目で、お客さまを思う気持ちを持つこと、です。と同時に、私自身の交渉術の鍛錬として、クレームを入れています。
もちろん、何の問題もない時にクレームを入れることはありません。ただ、クレームを入れなければならない場面が、いまの社会には多いので、冷静になるためにも、学びのチャンスだと捉えているのです。
起こった事象を相手に的確に伝えるには、どう表現すれば良いのか。企業やお店は、どんな対応をするのか。誠意が感じられない時には、冷静でありながらも、怒りをどう伝えるのか。こうしたことを実践的に学ぶのです。
これは、オリエンテーションであり、プレゼンテーションなのです。相手の誠意ある謝罪を引き出すためのテクニックが必要となります。クレーマーのような下品なことはせず、ビジネスライクなものの考え方・捉え方で、“交渉術”として学ぶのです。そうすれば、怒りは修まり、学びだけが残ります。
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