新型コロナ蔓延の今、安倍首相が「国連通貨」発行を提案すべき訳

 

新しい通貨を創設することとは?

この矛盾を解消するためには、「銀行から借金する」以外の方法でお金が社会に流通するルートをつくらなければなりません。一番手っ取り早いのは、政府が独自に通貨を発行することです。

「銀行融資以外での通貨の発行」は、著名な経済学者の間で有効な経済政策としてたびたび提言されてきました。たとえばノーベル経済学賞を受賞したブキャナン・ワグナーなども政府通貨の発行を勧めたことがあります。

が、この政府通貨というのは、国レベルではなかなか発行できません。一国がそれを採用した場合、他国との為替などの問題が生じるからです。どの国も、「銀行融資による通貨」しか発行していない中で、一国だけが銀行融資によらない政府通貨などを発行した場合、果たして他の国がその通貨を認めてくれるかという懸念が生じます。もしそれを通貨として認めてもらえなければ、その国は貿易などで大きな支障をきたすことになります。そのため、どの国も踏み込めないでいるのです。

国連通貨とは?

が、国連ならば、それは可能だといえます。国連が通貨を発行し、それを国連加盟各国が了承したならば、全世界で支障なく使用できるはずなのです。何の保証も担保もない「仮想通貨」が、通貨として流通している現状を見たとき、国際社会が了承した「国連通貨」が流通しないはずはないのです。

具体的に言えば、現在世界経済のGDPは9,000兆円前後なので、この1~5%を目安に国連通貨を発行します。国連通貨は、アメリカ・ドルとのペック制にします。ドル・ペック制というのは、通貨の価値がドルと固定して連動するということです。そうすることで、これまで世界の中央銀行の役割を担ってきたアメリカのメンツも立つはずです。そして、各国はドルとの交換相場で自国通貨と国連通貨を交換することを保証するのです。どこの国も拠出金を出す必要はなく、たったこれだけのことで世界GDPの数%の財源が創出できるのです。

9,000兆円の1%としても、90兆円です。日本の国家予算に匹敵する規模です。その巨額の財源を国連は得ることになるのです。

またアメリカとしても、このままずるずる中国に国連でのイニシアティブを握られるよりは、今、座長となって国連通貨の発行をした方が得策なはずです。

あらゆる世界の災厄に役立てる

そしてこの国連通貨を、国連関係の諸経費に充てたり、貧困国の国民への所得補償を出したりするのです。そうすれば、国連は独自の財源を持つことになり、拠出金のことを気にすることなく、本当に世界に必要な施策を講じられるようになるはずです。

また今回のような世界的な大災厄において、世界各国は予算の制約もありなかなか有効な手立てが講じられません。が、国連が独自の財源を用いて、世界規模の対策を講じればかなりの効果が得られるはずです。

さらに世界通貨を発行すれば、世界経済に大きな好影響をもたらすことは間違いありません。というのも、貧困層に支給されたお金のほとんどは消費に向かうからです。貧しい人々、貯蓄をする余裕のない人々というのは、お金をもらえばそのまま消費する傾向が強いのです。これは発展途上国の産業だけじゃなく、先進国の産業にも大きな好影響をもたらすはずです。

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