特定できぬコロナ感染源。小池都知事「首都封鎖」決断の現実味

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3月23日、新型コロナウイルスによる感染の拡大防止策として「首都封鎖」の可能性に言及した、東京都の小池百合子知事。ウイルスに対する緊張感の低下も指摘される中、我々はこの発言をどう受け止めるべきなのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、小池氏がここまで踏み込んだ発言をするに至った理由を考察するとともに、都民のみならず全国民が危機感を持ち行動するべきとしています。

小池都知事【東京封鎖】の可能性に言及

前号、前々号で、「油断するのは早すぎる」というお話をしました。確かにイタリア、スペイン、アメリカなどと比べると日本の感染者増加スピードは緩やかです。しかし、毎日確実に増えている。だから、「油断しないでおきましょう」と。

「全然おさまっていない」こと、小池都知事が言及しました。しかも、【 東京封鎖 】の可能性もあるというのです。

小池都知事、【東京封鎖】の可能性に言及

TBS NEWS 3月23日。

新型コロナ、小池都知事「首都の封鎖あり得る」

 

東京都の小池知事は、新型コロナウイルスの大規模な感染拡大が認められた場合は、首都の封鎖=ロックダウンもあり得るとして、都民に対し、大型イベントの自粛などを改めて求めました。

 

「この3週間オーバーシュートが発生するか否かの大変重要な分かれ道であるということです」(小池百合子 東京都知事)

 

小池都知事は、23日から3週間、イベントなど人が密集する空間への外出を控えるよう都民に呼びかけました。都内で大規模な感染拡大が認められた際には、東京都を封鎖する「ロックダウン」も検討するとしています。

【首都の封鎖 = ロックダウン】もあり得るそうです。そうなるかどうか、これから3週間が勝負だと。

なぜそうなのか?

なぜ、小池都知事は、現状を強く心配しているのでしょうか?理由は、「感染源が特定できない感染者が増加していること」だそうです。東京都の新たな感染者数は3月23日、16人でした。これは、これまでで過去最多です。16人のうち9人は、どこで感染したのかわからない人たち。

政府専門家会議メンバーである館田一博医学部教授は、

これは、非常に危険なサインです。

我々が把握していない大きなクラスター(集団感染)が起きているのではないか

そういうことを放っておくと、これがメガクラスターになって、それがオーバーシュート(感染者の爆発的増加)につながってしまうのではないか

と語っておられます。

国民の油断が、オーバーシュートを呼ぶ

新型コロナウイルスの感染は全世界に広がり、たくさんの都市で、厳しい外出制限が行われています。ニューヨークも、人がガラガラ。私が住んでいたモスクワでも、市長が直々に動画をだし、「食料品と薬を買う以外に、外にでないように」と要求しました。

ところが日本では、3月初めの緊張感がすっかり緩み、花見でにぎわっている状況(宴会式の花見は、行われていないようですが)。遊園地の「としまえん」は、営業を一部再開(屋外のアトラクションだけ)。21日(土)の来園者数は、約6,000人。22日(日)は、約5,000人。これは、【例年並み!】の数だといいます。それでも「屋外」アトラクションなので、「そんなに感染リスクは高くないのではないか」と思えるかもしれません。

では、「さいたまスーパーアリーナ」で3月22日に開催された【 K1 】はどうでしょうか?観客数は6,500人だったといいます。これで、クラスターが起こらなかったら「超ラッキー」といえるのではないでしょうか?何がいいたいかというと、安倍総理の休校要請から約1か月が過ぎ、国民の緊張感が薄れているということです。

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