世界の2大医学雑誌に学ぶ、2週間後の状況改善のためにできること

 

そこでウイルスの空間的封殺という現実的な手段が残ることになる。と言っても、ウィルスを運ぶのは常に人間である。よってこれは人間の行動制限と言い換えてもいい。

二大医学雑誌の一つである『ランセット(The Lancet)』の感染症専門誌である『The Lancet Infectious Diseases』のレビューによれば、感染者の隔離、学校の閉鎖、職場での間隔確保を同時に実施すれば、かなりの感染抑制効果が見込めると言う。Roを1にできるだけ近づけ小康状態のまま長期戦に持ち込むという作戦である。

言うまでもなく個人レベルにおいては不要不急の外出は御法度である。寧ろ感染源を追跡できない患者が増えてきている実情を鑑みるとこちらの方が重要とも言える。たった1人の何でもない油断が大きな悲劇をもたらした例は歴史上いくらでもある。

ここで目下の敵である新型コロナウイルスをもっと知るべく、その体外生存可能時間について2大医学雑誌のもう1つ『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(The New England Journal of Medicine)』記載の論文からいくつか紹介する。

  • 空気中(エアロゾル化したもの)=3時間
  • 銅製品表面=4時間
  • 段ボール表面=24時間
  • プラスチック製品表面=48~72時間
  • ステンレス製品表面=48~72時間

これらを見ると、こまめな消毒も有効であることが分かる。特にプラスチック製品はそこいら中に溢れているし、ステンレス製品はキッチン等の水回りで多く使われている。共に使用頻度、つまりは接触頻度が高い物である。消毒にはアルコールか次亜塩素酸水などが有効だが、手に入らなければ界面活性剤(=中性洗剤)でも十分である。

いずれにしろ全ての行為は今日や明日ではなく、1週間後そして2週間後の状況を如何様にも変え得るものであると肝に銘じて生活したいものである。

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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