ドイツに学べ、日本政府に求められている新型コロナ景気対策とは

 

日本の景気対策は、ドイツを学べ

先日ドイツのテレビDWを見ていたら、ドイツに住むロシア人、アレクサンドル・ミンドリンさんの話をしていました。アレクサンドル・ミンドリンさんは、ドイツの居住権をもっていますが、国籍はロシアのまま。

彼は、ドイツに暮らし、ロシアからの観光客にガイドをしている個人事業主です。今回の、新型コロナ騒動で、ロシアからの観光客が消えました。それで、収入が激減した。困った彼は、ドイツ政府に支援を申し込んだ。すると、翌日、なんと「3か月分の収入に相当する額」が入金されたというのです。

彼は、非常に感動し、そのことをフェイスブックに書きました。フェイスブックをやっている人は、「Alexander Mindlin」で検索してみてください。彼が4月2日に投稿した内容です。原文はロシア語ですが、今はグーグル翻訳などで、ロシア語を知らなくても、だいたいの内容を知ることができます。何が書いてあったのか?長文なので、ポイントを書いておきましょう。

  • ドイツ政府が、財政支援として、かなり多額のお金を入金してくれた
  • 金額は書きたくないが、3か月分の収入に相当する額
  • このお金を返済する義務はない
  • ドイツ政府が救済したのは私だけでない、新型コロナウイルスの影響で、仕事と収入を失ったすべての個人事業主が、救済の対象だ
  • 私と一緒に、私の知り合いのガイド、俳優、カフェ、小規模ホテル、レストランなどのオーナーが、支援金を受け取った

この後彼は、自分が生まれたソ連や、ソ連崩壊後にできた新生ロシアでは、「全然助けてもらなかった」ことを回想します(2人子供を産んだ家族を対象に行われる「母親資金」以外)。その後彼は、ドイツに引っ越し、仕事をし、税金を払い、永住権を持つ外国人として生活しています。

ドイツで不幸(新型コロナウイルスの大流行)が起こりました。その不幸は、全世界で起こった。いくつかの国家は、不幸の中で、住民を助けることにした。そして実際に助けてくれた。国から助けてもらった経験がないアレクサンドルさんは、感動しました。そして、フェイスブックで、「国家の力とはなんだろう?」と読者に問いかけます。彼は、いいます。「困難な時に、手を差し伸べてくれる力なのではないか?」。彼は、「私は今日初めて知った、いや感じた。国家とは何か。国家の力とは何なのか」と書きました。3万6,000人がこの投稿を見て、2万人がシェアしました。

皆さん、私は、「ドイツ政府が“外国人”のアレクサンドルさんを助けたこと」を強調したいのではないこと、ご理解いただけるでしょう。ドイツ政府は、ドイツ人の個人事業主を助け、外国人であるアレクサンドルさんすら助けたのです。

この話、「一人の証言だけでは、信ぴょう性がない」と思い、ドイツ在住の読者さんたちに聞いてみました。実際、ドイツでは、1~3日ぐらいで、支援金がもらえるそうです。日本では?

ケチな日本政府は、世界恐慌のフーバーと同じ過ちを繰り返す?

緊急事態宣言が出て、知事が「休業要請」することが増えてきました。ところが、この要請に応じて休業しても、国は損失分を補償する気がないようです。

7都府県は休業要請に応じた事業者らに国が補償するよう求めたが、西村氏は国による休業損失の穴埋めは重ねて否定した。
(共同通信 4月11日)

国の求めに応じて休業した。収入はゼロになる。それどころか、お店をやっている人は、店舗代を払うので大幅な赤字になる。国は、こういう人たちに、「死ね」というのでしょうか?私は、自虐史観の持ち主ではありませんが、この件に関して、日本政府は全然ダメで、ドイツはとても立派だと思います。

日本政府は、新型コロナウイルスの影響で休業になる人たち、特に個人事業主、中小企業の所得を補償すべきです。税務署に問い合わせて、前年同月比の収入と同じ額を支援したらいいでしょう。だから2019年4月期の収入を調べて、その額を入金すればいい。

ちなみにメルケルさんは、新型コロナ対策が見事で、支持率が急上昇しています。毎日新聞4月8日。

欧州ではスペインやイタリアが致死率10%前後で推移する中、ドイツは約2%だ。独公共放送ARDが4月2日に公表した世論調査結果では、メルケル氏への満足度は前月比11ポイント増の64%と急増し、ここ数年で最高値を記録。下落傾向だった与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の支持率も同7ポイント増の34%と上昇した。

日本政府も、是非ドイツのやり方を見習ってほしいと思います。

image by: 首相官邸

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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