様々なメディアで頻繁に見かける、ダイエットサプリメントの広告。さも効果があるように喧伝されていますが、はたして本当にサプリで痩せることは可能なのでしょうか。そんな疑問に答えるべく、現役科学者のくられさんが自身の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』で、「ダイエットサプリの真実」を暴露。なるほど納得、の内容です。
ダイエットサプリメントのほんとのところ
ダイエットサプリメント。未だにいろいろありますね。
CMでは「脂肪吸収を抑制」や「基礎代謝を上げて」みたいなうたい文句が並び、モノによっては、油いっぱい食べてもこれさえ飲めば大丈夫的な商品…そういうイメージで売ってます。
最初に結論から言っておくと、まず、過肥満、肥満、標準、痩せ型…という感じでザックリ体型、BMIなどから数値がでます。ただし、体重やBMIは筋トレをして筋肉が多く付いていると必然的に体重は重くなるので、実は「この数値がベスト」というのは存在せず、平均体重もはっきりいって意味の無い数値です。
例えば、筋肉が多くて健康的で見た目も引き締まって美しく平均体重より重い人と筋肉が異様に少なくて脂肪組織が多いサルコペニア型の肥満の標準体重の人ではどちらが健康かというと、言うまでも無いわけです。
このように体重だけでは「過肥満かどうか」くらいの判別しかできず、過肥満(超デブ)はそもそも治療の対象なので、薬剤による食欲抑制や、漢方の処方などがされることがあるくらいです。この漢方については以前記事にしてるので関連記事からどうぞ。
さておき、要するに国としては過肥満は万病のもとという認識です。そういう人が糖尿病などの長期にわたる慢性疾患を抱えていくことは国庫から大量の健康保険費が出て行くことになるので、肥満を即座に押さえ込んだり、解決する薬でなおかつ副作用がない…なんてものがあったら、もうサプリメントどころの話に収まりません。
国を挙げてバックアップ、もとい多くの先進国の問題ですから世界中がバックアップして、普段から暴飲暴食をしてもこれを飲めばOKと薬を配布してくれているはずです。
残念ながらそんな都合の良い薬はないわけです(笑)。ましてやサプリメントなんか効くわけないんです。
まず、サプリメントという言葉を復習しておきましょう。
サプリメントという言葉は日本では「健康補助食品」を指し示す言葉です。何を当たり前なと言うなかれ、健康補助の「食品」であって、あくまでクスリではないので薬効などは存在しないのです。
むしろ、薬効を一言でも唄ったりすると即薬事法違反や不当表示防止法に抵触する、ただの食品です。いやいやそんなことはない、クスリのような形してるし、CMなどの広告では、痩せるとか目がよく見える様になるとか言ってるじゃないと思う人もいるかもしれません。
残念ながら錯覚です。画面には「個人の感想です」と商品の効果を説明したものではない…ということになっています。あくまで食品を売っていながら、薬効を思いおこさせる宣伝をして売るというのが日本のサプリメント商売というもの。
だいたい年がら年中ダイエットサプリのCMが10年以上年がら年中ながれているのに、男性の3割、女性の2割が肥満傾向と年々肥満人口は増えているわけですから、効果がないのは俯瞰でみれば明らかかで、効果の高いサプリメントはもちろん、薬さえ存在しないわけです。
故にサプリメントを飲んで痩せる!というのは「まったくの嘘」と捉えておいても過言ではありません。もちろん細かい部分でみれば食物繊維やほんの少し効果がなくはないものもありますが、暴飲暴食を肯定できるようなものは存在しません。
普段から健康に気をつけて、暴飲暴食をしないようにする。これ以上の最適解はないのですが、その辛い現実から目をそらしたい人のため、自分に嘘の言い訳をしたい人のため、これからも売られ続けるでしょう…。
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