言葉を尽くしているのだけれど、こちらの思いが相手にまったく届かない…。こんな経験、お持ちではないでしょうか。その原因は、あまりに言葉に頼りすぎてしまっているからかもしれません。今回の無料メルマガ『ビジネス真実践』では著者で人気コンサルタントの中久保浩平さんが、「メラビアンの法則」を紹介しつつ、言葉以上に想いを伝えてくれる要素を記しています。
言葉だけでは伝わらない
現在、大変な思いをしながら事業・お店・会社の存続のために奔走されている経営者事業主の方がほとんどだと思います。特に各種申請準備や業務等にかかる時間が多い中、改めて自分の会社やお店とじっくり向き合う機会も多いのではないでしょうか?
そんな機会も今後のマーケティング素材として扱えば役に立つはずです。たとえば、商品やサービスを提供しながら事業を運営していく上で「想いを伝えていくことが大切」なんていうことがよく云われたりします。
- なんのために起業・開業したのか?
- なんのための事業なのか?
- なんのための店舗なのか?
- なんのための商品、サービスなのか?
これまで多くの経営者や起業家の相談を受けてきましたが、「こうした質問に答えることが出来なければ、事業のこと、店舗のこと、商品やサービスのことが市場に理解してもらえない」と考えている方が大半でした。で、よくあるのが「想い」をそのまんま熱く語り失敗するケースです。
「私どもでは、○○にこだわり、そのためにン十年研究を重ね○○を開発しました。それはもう苦難の連続でした…」「当店では、○○をコンセプトにオープンしました。○○というコンセプトには、癒しという意味があり、この○○を中心にスタッフ一同お客様をもてなし…」など、とにかく想いを熱く語ってしまうのです。
しかし、悲しいかな、商品のこと、サービスのこと、店舗のことをよく知らないお客様に言葉だけで伝わることはありません。お客様は「想い」よりも他に聞きたいことがたくさんあるのです。それは、品質や安全、満足、信頼などといったことを含めた商品、サービス、お店、取引先(発注先)などを選ぶ判断基準です。
要は、想いというのは、販売者側の云いたいことであり、お客様の聞きたいこと、ではないということです。ここがズレてしまっているので、想いをいくら熱く語っても伝わりません。想いだけでお客様は商品を手にとってくれないし、サービスを利用してくれないし、お店へ行こうとは思わないということです。なので、想いより判断基準を明確にすることの方が大切です。そして、その裏付け(根拠)となるのが、想いやこわだりといったものなのです。
では、想いというのはどのように伝えると良いのでしょうか?ってことを思うかもしれませんが、伝えようとするのではなく、伝わるもの、伝わっていくもの、として考えると良いでしょう。
想いというのを言葉だけで伝えようとするから失敗するのであって、サービスや商品そのものであったり、お店作りであったり、そこで働く人の行動や態度であったり、「姿勢」で伝わっていくものです。
アメリカの行動科学者アルパート・メラビアンは、言葉、声の調子、態度が意志伝達に関わる率を「言葉の3要素」として次のようにまとめています。
<意志の疎通>
言葉 7%
声の調子 38%
態度 55%
つまり、言葉で熱く語る前に行動や態度、対応など目に見えたり、感じたりする方が伝わるのです。これはお客様に対してというだけではありません。スタッフに対しても同じです。言葉だけでは意志を伝えきるのは難しいのです。言葉以外にも態度や表情、姿勢、対応、これらが一貫されて伝わるものなのです。
■今日のまとめ
「想いは言葉だけでは伝わらない」
- 商品、サービス、店舗、会社などに込めた想いをノートに書き出す
- 書き出したものが商品やサービス、情報などに反映されているかどうか?仕事に対する姿勢に表れているか?チェックする
- お客様が商品やサービス、あるいは自分自身を通じ、想いを感じ取って下さっていることが分かれば、それは今後どのように自社の役に立つと思うか?考えノートにまとめてみる
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