とにかく先方に失礼がないようにと気を遣うあまり敬語がおかしなことになってしまい、さらにその何が「おかしい」のかもわからなくなってしまう、などというご経験、ないでしょうか。今回の無料メルマガ『仕事のメール心得帖(無料版)』では著者の神垣あゆみさんが、「気になる敬語」と題して、よく目にする敬語の誤った使い方と正しい使用法を紹介しています。
気になる敬語 「拝見させていただきました」
XXXさんのサイトを改めて拝見させていただきました。
上記は、自分が所属する団体のWebサイトについての意見を述べる一文です。
「~を見ました」というときの敬語の間違いでよく目にするのが、「拝見させていただきました」という言い回しです。
「見る」の謙譲語は「拝見する」。これだけで完結するのですが、その後に謙譲語「~させていただく」を重ねているケースをよく目にします。
同様に、下記のような文例もよく見ます。
御社のメールマガジンを拝読させていただきご連絡差し上げました。
この文例の「拝読する」は「読む」の謙譲語。その後に謙譲語「~させていただく」は必要ありません。
上記に挙げた2つの文例は、下記のように書き換えることができます。
XXXのサイトを改めて拝見しました。
自分が所属する団体名に「さん」は不要なので、取っています。
御社のメールマガジンを拝読し、ご連絡いたしました。
「差し上げる」に代わり、「~いたしました」としました。
当メールマガジンでも何度となく取り上げているのですが、「見る」の謙譲語「拝見する」、「読む」の謙譲語「拝読する」なので、その後の「する」を謙譲語「~させていただく」に変換する必要はありません。
しかし、敬語を使う際、「拝見する」「拝読する」だけでは物足りなく感じるのか、「拝見させていただきました」「拝読させていただき」としている文を多く目にしたり、聞いたりします。
気になる敬語 「お戻りになられる」
山田部長が出張からお戻りになられるのは、いつでしょうか?
相手が出張先から戻る日を尋ねる際、「お戻りになられる」を使っていませんか?一見、敬語らしく見えますが、敬語が重ねて使われている二重敬語
「戻る」の尊敬語は「お戻りになる」でよく、さらに尊敬の「~られる」を付け加える必要はありません。したがって上記の文例を正しく書き換えると……
山田部長が出張からお戻りになるのは、いつでしょうか?
です。
似たような二重敬語の間違いの例として、次のようなケースがあります。
× 広島へお越しになられたことはありますか?
↓
○ 広島へお越しになったことはありますか?
× 十分お休みになられましたか?
↓
○ 十分お休みになりましたか?
× 明日、社長がお見えになられます。
↓
○ 明日、社長がお見えになります。
二重敬語についてはこれまで何度も紹介していますが、うっかり間
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