後出しの物言いには違いないが、言われた当人たちは大いに気になるだろう。当人たちとは、もちろん専門家会議メンバーや、安倍首相、西村大臣らだ。対策の効果があったからこそ、感染拡大が抑えられたのだという反論では一致できても、専門家会議と政権側の間に意識のズレがあるのは否定できない。
たとえば、専門家会議から見ると、なにもかも専門家会議のせいにせず、政治が責任を持てということになる。一方、政権側は、専門家会議を全面的に信頼してよかったのだろうかというのが今の本音かもしれない。
「廃止」という西村大臣の唐突な発表で、専門家会議に寄せられる世間の同情と、西村大臣への反発は強くなった。
たしかに、専門家会議メンバーの苦労と苦悩は想像を絶するものであっただろう。なにより、感染病の流行爆発を想定した検査システム、情報ネットワーク、緊急医療体制など、そなえができていなかった。まさに厚労省の怠慢である。過去にSARSやMERSなどの流行を免れたことを未整備の理由にあげるのはどうかと思う。
これから「分科会」の上部組織となる「新型インフルエンザ対策等有識者会議」には尾身氏や脇田氏ら新型コロナ専門家会議のメンバー12人が全員、含まれているようだ。しかし、総勢35人で構成される会議だけに、具体策の提案となると「分科会」によるところが大きい。
西村大臣は、感染症の専門家に加え、自治体関係者や危機管理の専門家など幅広い分野から人選すると言う。多角的な視点から対策を練るのはよいが、くれぐれも、船頭多くして船山に登る、ということにならないように。
image by: 首相官邸