外国人観光客の需要は「消失」
【東京】は1面トップと5面の社説。見出しから。
(1面)
宿泊・飲食 客足戻らず
6月短観 リーマン以来の低水準
(5面・社説)
景気の急激悪化
雇用維持に全力傾けて
●uttiiの眼
1面。本記の中に、深刻な状態が続く経営の現場取材が入っている。とくに厳しい状態にあるのが宿泊・飲食サービスで、「外国人観光客の需要消失と自粛要請の影響をまともに受けた」ことで、緊急事態宣言解除後も客足は戻っていないと。「外国人観光客の需要消失」は正確な表現。需要は「減少」したのではなく「消失」、つまり消えて無くなったのだ。
5面社説。歴史的な試練に直面する経済を立て直すのに必要なのは、「雇用の維持」だとする。5月の労働力調査では完全失業率が0.3ポイント上昇して2.9%となり、それでも世界の中では「踏みとどまっている印象を受ける」ものの、実体は数字以上に深刻だという。
1つには「失業予備軍」といわれる自宅待機などの休業者が増加していて、緊急事態宣言後、前年同期比で274万人増の423万人に達したこと。さらに、雇用調整金による救済は一時的なものに過ぎないことを挙げる。いずれにせよ、既存のやり方では対処できないほどの雇用の悪化が現実化するということだと思われる。
《東京》の社説子が薦める対策は多岐にわたっているが抽象的だ。雇用調整金制度に代わる強力な雇用維持策をとること、労働移動の活性化や新たな職域を生み出す仕組み、そして最後には「公共事業」を挙げている。そもそも、公共事業はちょっとどうかと思うところもあるが、そこまでいくのなら、ベーシック・インカムの議論に踏み込んでも良かったのではないかと思う。
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