グレタ・トゥーンベリの背後にいる勢力
次回に詳しく解説することになるが、最後にグレタ・トゥーンベリについて一言したい。実は「アンティファ」も「ブーガルー」も、グレタ・トゥーンベリの背後にいて、地球温暖化反対運動を仕掛けた勢力が立案した、壮大なアジェンダの一部なのかもしれないのだ。
グレタ・トゥーンベリは、2018年8月から毎週金曜日、放課後にストックホルムにあるスエーデン国会前で、地球温暖化の是正を政治家に求めるプラカードを掲げて一人で抗議運動をして注目された人物だ。彼女は瞬く間に有名になり、2019年9月には国連で演説するまでになった。グレタ・トゥーンベリが呼びかけた運動は世界的に拡散し、各国で150万人を越える青少年が立ち上がる大運動になった。いまグレタはノーベル平和賞の候補者にもなっている。
しかし、このような運動の突然の拡散を見ると、不自然に感じないわけにはゆかない。スエーデン国会前で地球温暖化抗議のプラカードを掲げていた16歳の少女が、わずか1年で世界的な運動のリーダーになることは普通は難しい。やはり彼女が大きな組織に早い段階から支援されて登場した存在であると見たほうが自然だ。
詳しく調べると、グレタ・トゥーンベリを支援している組織が明らかとなった。それは、「ウイ・ドント・ハブ・タイム」という環境問題の新興企業で、NGO活動も積極的に行っている組織だった。ここは二酸化炭素の排出権取引で利益を上げ、それを資金に気候変動を抑止する活動を行っている組織だ。
この組織のツイッターの記録を見ると、グレタ・トゥーンベリがプラカードを掲げていたスエーデン国会前で活動を始めた直後から、注目すべき若手のリーダーとして、グレタ・トゥーンベリを称賛する一連の投稿がツイッターやSNS始まった。これがグレタが注目されるきっかけになった。
さらに「ウイ・ドント・ハブ・タイム」という組織の背後関係を調べると、クリントン政権で副大統領を努め、地球温暖化の抑止と気候変動を警告しているアル・ゴアの主催する組織、「クライメイト・リアリティー・プロジェクト」のパートナーであったことが明らかになった。「ウイ・ドント・ハブ・タイム」がグレタ・トゥーンベリの投稿を始めた直後、アル・ゴアの「クライメイト・リアリティー・プロジェクト」がグレタのことを連続的にツイートした。これが主要メディアの目に止まり、頻繁に報道されるようになった。これがグレタ・トゥーンベリがわずか1年という短い期間で世界的なリーダーとして見られるようになった背景だ。
一方アル・ゴアは、ゴールドマン・サックス出身のヘッジファンドマネージャー、デビッド・ブラッドとともに、「ジェネレイション・インベストメント・マネージメント」というヘッジファンドを運営している。ここは、地球温暖化を抑制する環境関連産業に投資をするためのファンドだ。
そしてデビッド・ブラッドは、「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」という組織のメンバーである。「国際決済銀行(BIS)」の「金融安定理事会(FSB)」がメンバーを選定して立ち上げた組織だ。「TCFD」の基本的な目標は、各国の年金基金をはじめとして、膨大な額の投資資金を環境関連産業に誘導する「グリーン・ファイナンス・イニシャチブ」の実施である。
このような全体的な経緯を見ると、グレタ・トゥーンベリは地球温暖化抑制を主張して活動している16歳の一少女が注目されたという単純なものではないことが分かる。「国際決済銀行(BIS)」が中心となって実施している国際的な巨大キャンペーンに、象徴的な存在として初めからリクルートされた人物であると見ることができる。
では、「国際決済銀行(BIS)」のような国際的な金融勢力が、「アンティファ」や「ブーガルー」とどのように関係しているのだろうか?これは次回に書く。
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