UNIQLOはなぜ東京2店目の旗艦店を同じ銀座に出したのか?
ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、「新型コロナウイルスの影響で消費者の生活が大きく変化する中、新しい価値を持つ服を提供したい」と述べていますが、まさにその理念を体現化したような店舗です。
また、ユニクロの夏といえば「エアリズム」。この店舗には、今話題の「エアリズム寝具」の売り場もあります。実際に、大人気のようで、この前私も、ユニクロの販売サイトで買おうとしたところ、「アクセス数多数のためつながりにくくなっております」というくらいの人気です。
加えて、この店のオープンとほぼ同時に発売が開始された「エアリズムマスク」も話題になっていましたよね。その時は、SNSで「マスクを買いに店に並んでいたよね」という投稿もちらほらみられたほど話題になっていました。通気性が良いことに加えて、洗えば複数回使えることもあり、人気になるのはわかりますよね。
柳井正会長兼社長は4月の決算説明会で、「服を作ることが本業だ」と、マスクの販売には慎重だったそうです。しかし、マスク不足は解消されつつあるものの、完全な感染収束はまだまだで、夏でも着用できるマスクの需要は高まっています。また、ユニクロでの展開を求める顧客の声の多さなどを考慮し、販売に乗り出すことにしたということです。
銀座の店舗から学べることは、「そこにしかないもの」を提供することですよね。この場合の「そこにしかない」の意味は、ユニクロでしかできない、ということと、ユニクロの中でも、UNIQLO TOKYOに行かないとないもの、の2つになります。
マーケティングは、「自社だけの売りもの」を作ることから始まります。市場で勝てる売りもの、というもことですよね。差別化ポイント、という言葉をよく聞くかと思いますが、今の製品やサービスを、他社と違うものにする、というアプローチではありません。現行の商品ラインアップに、「ここだけ」「うちの会社だけ」を足すことで、他とは違う価値を生み出しているのです。
エアリズムをはじめとする、品質が高いが手に届く価格、という最大の強みがある売りものがユニクロの武器ですが、それに加えてディスプレイや品揃えを始め、銀座店だけで体験できることが揃っているので、お客様は「行きたい」理由がはっきりする、ということになります。
今の世の中、ものが溢れています。なので、技術や製品の特徴だけで差別化することが、とても難しくなっています。このUNIQLO TOKYOの事例から学べることは、自社だけが提供できる価値を見つけ、自社製品やサービスに加えることで、新しい価値になる、ということ。自社の製品やサービスの参考になりますね。
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