コロナ後の「地方」で、スポーツショップが生き残る術はあるのか

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人々の生活パターンとともにビジネスの現場も大きく変えた、新型コロナウイルスの流行。東京への一極集中も見直され、地方分散の潮流が起こりつつあるとも言われています。そんな時代にあって、小売店は生き残ることができるのでしょうか。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では経営コンサルタントの梅本泰則さんが、「コミュニティ」をキーワードに、コロナ後の地方で小売店を運営してゆく方法を考察しています。

地域活性化の起点となる

コロナが収束しませんね。そんな中でも世の中は動いていますし変化をしています。その変化をどのようにとらえ活かしていくかが経営者の腕の見せ所です。そこで、今回は「コミュ二ティ」の話をします。

集中から分散へ

今回のコロナ禍で、社会や経済の大きな変化が起ころうとしています。例えば、

  • グローバリゼーションの見直し
  • デジタル化の進展
  • 働き方のスタイルや意識の変化

といったことです。こうしたことは、いろいろな方が発言されていますので、大きな流れとしては当たっているように思います。

では、何人かの人たちが唱えている「一極集中から地方分散へ」という社会変化についてはどうでしょう。コロナ後に、その変化は起こるのでしょうか。

確かに、今の日本は東京一極集中です。コロナ感染者数を見ても分かります。ヒト・モノ・カネが過度に集中している状態です。そして、コロナで一斉にテレワークが始まりました。先にあげた「働き方のスタイルや意識の変化」につながります。会社に出社しないでも仕事が回っていくことが分かってしまいました。しかも、その方が効率の上がる人もいるようです。きっと多くの会社が組織や規則の変更をしていくことでしょう。

とはいえ、それによって地方分散ということになるかどうかは何とも分かりません。しかし、私は地方分散の変化は起こって欲しいと思っています。そして、かなり可能性の高い変化ではないかと思っています。なぜなら、今や日本が目指してきた成長拡大による工業化社会は大きな曲がり角に来ていると思うからです。

コロナによって引き起こされた経済政策も、東京都の支出はとびぬけています。東京に集中している証拠です。とてもこの状態が良いとは思えません。日本はこれまでの政策を変えていかないと、地方が衰退していってしまいます。

「地方分散」政策は、その一つです。ただし、「地方分散」がうまく行くには、地域の雇用や住宅の整備や都市そのものの設計が必要になります。そんなに簡単に進むとは思えません。その中には「コミュニティのあり方」という課題もあります。

コミュニティとは

「コミュニティ」とは何でしょう。日本語にすれば、「共同体」ということです。日本にはもともと「ムラ」という立派な共同体がありました。地域の人々が「つながり」を持った社会です。しかし、戦後その農村社会は都会に人々が大移動することでコミュニティが無くなってしまいました。

その代わり、そのコミュニティの文化は都会の「カイシャ」や「組織」に受け継がれています。例えば、個人より集団が優先するとか、強い結束力や一体感があるとか、外部にたいして排他的であるといったことです。

この日本的なコミュニティは、「地方分散」をするためには本当の「都会型コミュニティ」になっていく必要があります。例えば、コミュニティの一人一人が独立しながら、ゆるくつながるといった形です。

分かりやすいように、スポーツのコミュニティについて考えてみます。ある高校の野球部を例にとってみましょう。このコミュニティでは、監督の言うことが全てです。選手一人一人の個性は尊重されません。しかし、一体感はありますし、強いきずなで結ばれています。これが、「農村型コミュニティ」です。

一方、ある大学の陸上部は違います。練習メニューは部員一人一人が考え、監督は部員と一緒に目標を設定したり、成長のためのほんの少しの手助けをするだけです。個人が独立をしながらも、お互いがつながっています。これが「都会型コミュニティ」です。

日本という社会は、もう成長社会から成熟社会に移っています。そこで求められるコミュニティは、農村型ではなく都会型なのです。

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