単品でも、アレンジを加えてもおいしくいただけるアスパラガスですが、食後、尿の匂いが変化することがあるのをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では、科学者のくられさんがその仕組みを解説するとともに、臭いを感知できない人がいるという事実も紹介しています。
アスパラを食べると尿の臭いが変わる
人気の野菜、アスパラガス。茹でて塩を振ったり、マヨネーズを付けて食べるのが好きだという方も多いでしょう。
しかし、このアスパラ、あまり知られていないことですが、実は「尿の臭いを変える」という特殊能力があるのです。尿の臭いを変える…というのは、言われてみれば、確かに変わっていると知覚されますが、それが、アスパラが原因だったと思う人はなかなかいないと思います。
そんな訳で今回は、アスパラとこの臭いを変える仕組みについて、科学的に紐解いていこうと思います。
アスパラには、アスパラガス酸という、そのまんまの名前の物質が含まれています。この物質は、小さな分子の中にイオウが2個も入った、独特の環状構造を持った酸です。
このアスパラガス酸は、体内で分解されて、ジメチルスルホンやメタンチオールといった、イオウを含む代謝物になります。これらが血中から尿中に排出されるため、尿が変な臭いになるわけです。
とまあ、こういう仕組みなのですが「いや、試してみたけどそんな変化は感じられないぞ」という方もいます。近年の研究によると、この独特な臭いを検知できない人がいることがわかっています。
また、それとは別に、尿中にこれらの物質が出ない人もいることも知られており、代謝一つとっても人の個性というものがあるという、生物多様性を感じさせるものとなってます。
このアスパラに関しての代謝は、尿中に出るまで食べてから20~30分程度という、異様な速度なのも特徴的なところ。アスパラを食べた後、トイレに行ったら、果たして自分は「変わる」タイプなのかどうかを確かめてみてもいいかもしれません。
もっとも、臭いの物質は出ているけど、その臭いがわからないタイプかもしれませんが…(笑)。
いささか尾籠な話でしたが、ごくごく身近なものに、こういった科学トリビアがあったりするものですね。
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