これで効果倍増。筋トレのプロに聞く正しいタンパク質の摂取方法

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ダイエットをしている人やトレーニングをしている人にとって、重要なのがタンパク質の摂取。体づくりには欠かせないタンパク質だからこそ、間違った摂取方法は避けたいものですよね。そこで、“筋肉博士”こと、山本義徳さんが自身のメルマガ『-エビデンスによる最新ボディメイク-【博士のダイエット&バルクアップ研究所】』の中で、世界中の研究結果を紹介しながら、正しいタンパク質の摂取方法を教えるとともに、ボディメイクにまつわるさまざまな質問にも答えています。

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タンパク質は「小分けに」摂ろう!

一日のトータルでつじつまがあっていれば、タイミングは関係ない。特にダイエットにおけるカロリー神話を信じている人は、そう考えがちです。一日トータルで3000kcalを食べていれば、「一日一食、夕食で3000kcal」でも「一日小分けに6食、毎食500kcal」でも同じだという主張ですが、これはどうなのでしょうか。

マウスの研究ですが、夜行性マウスに昼間に食べさせると、同じ食事でも夜間に食べさせた場合よりも肥満になりやすいことが示されています(※1)。多くの疫学的調査で、食事回数が少ない群のほうが肥満リスクが高いと報告されています(※2)。血糖値やインスリンなどを考えると小分け食のほうがダイエットには明らかに有効なのですが、マウスと違ってヒトの場合は食事回数を厳密に管理することが難しく、時間遺伝子の測定も難しいため、なかなかクリアな結果は出ていません(※3, ※4)。

しかしタンパク質は小分けに均等に分けて摂取したほうが良いようです。26名の男子学生を対象に、体重1kgあたり1.3gのタンパク質を一日に摂取させて12週間に渡り、週3回トレーニングさせた研究があります(※5)。

あるグループは朝食で0.33g、昼食で0.46g、夕食で0.48g。別のグループは朝食で0.12g、昼食で0,45g、夕食で0.83g(いずれも体重1kgあたり)のタンパク質を摂りました。つまり均等にタンパク質を摂った群と、朝食では少なくして夕食で多くタンパク質を摂った群とで比較したわけです。その結果、筋肉量も筋力も均等に摂取した群のほうが伸びていました。

また朝食に10g、昼食に15g、夕食で65g(一日トータル90g)のタンパク質を摂取した群と、毎食30gずつ(これも一日トータル90g)のタンパク質を摂取した群とで比較した研究もあります(※6)。この研究でも毎食30gずつ群(均等群)のほうがタンパク合成は高まっていました。

24名の若者を対象に、ウォームアップ後、レッグエクステンションを80%1RMで10回4セットやらせて、その後12時間の間にホエイアイソレートを80g摂取させた研究があります(※7)。ある群は40gを2回(6時間に1回)、別の群は20gを4回(3時間に1回)、また別の群は10gを8回(90分に1回)としました。

その結果、10gを8回群はタンパク合成もタンパク分解も一番高くなっていました。20gを4回群はタンパク合成は二番目だったものの、タンパク分解が低かったため、トータルの筋肉量増加としてはベストとなりました。

つまり小分けにすれば良いというものではなく、ある程度の量がないと分解が進んでしまうため、それなりの量を摂取することが必要だということになります。特にトレーニング後はカタボリックも亢進しているため、90分に1回、10gでは足りないのでしょう。

この場合、一回20gを90分に1回ずつ摂取すれば合成が最高、分解は最低となり、ベストの結果が出たはずです。そのようにした場合、トレーニング後の12時間で160gのタンパク質を摂ることになります。

睡眠を考えず、すべてのタンパク質をプロテインから摂取するとした場合、「90分ごとに20gのホエイアイソレート」で一日320gのタンパク質を摂取することが、もしかしたらベストなのかもしれません。

現実問題としては、朝食と昼食で20g以上のタンパク質、食間とトレーニング前、トレーニング後にプロテインを20g以上ずつ飲み、その90分後に食事で20g以上のタンパク質、寝る前と就寝中に20gずつのプロテインとすれば、一日に8回のタンパク摂取となります。このあたりが実際に可能なところでしょう。

高タンパクの食事によって血中アミノ酸濃度は高いレベルで保たれますので、90分ごとに摂取しなくても十分な効果は得られると思われます。なお、これは若者対象の研究ですので一回20gでタンパク合成は十分となります。

高齢者は一回20gでは足りません。平均71歳の高齢男性を対象に0gか10g、20g、40gのホエイアイソレートを摂取させてタンパク合成を測定したところ、20gで65%の増加、40gで90%の増加でした(※8)。

71歳ではあんまりなので、平均59歳の男性対象の研究も紹介します。0g, 57g, 113g, 170g の赤身肉を食べさせてトレーニングしたところ、筋タンパク合成率は0gと57gではあまり変わらず、113gになって明らかに上昇。そして170gになると激増したという結果でした。113gの肉には24gのタンパク質、170gの肉には36gのタンパク質。もっと肉の量が多かったら、さらにタンパク合成率が高まっていたかもしれません(※9)。

とはいえ、高齢者が一回40gのタンパク質を一日何度も摂取するのはちょっと厳しいところです。まぁ高齢者がそこまでタンパク合成率を求める必要もないのですが、タンパク質が40g含まれる食事を一日3回、そして40gのホエイプロテインを一日2~3回摂取することで、筋肉量維持には十分働くと思われます。筆者はもっと摂っていますが。

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