リッツカールトン伝説のホテルマンが語る従業員育成の「合言葉」

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高いホスピタリティを提供することで有名な「ザ・リッツカールトンホテル」。そこで働く従業員たちの教育は他の業種であっても参考になることが多いのかもしれません。そこで、今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、リッツカールトンを日本に根付かせたホテルマンである高野登氏のインタビューから人材育成の秘密について紹介しています。

サービスを提供する側も紳士淑女たれ

「ザ・リッツカールトンホテル」を日本に根づかせた伝説のホテルマン・高野登さん。いまから十数年前、リッツカールトンホテル東京が開業する直前に行われた貴重なインタビューの内容をご紹介します。

■高野登(ザ・リッツカールトン・ホテル日本支社長)

「リッツ・カールトンでの高野さんの仕事って何ですか」とよく聞かれます。もちろん営業やマーケティング、プランニングなどいろいろやっているわけですが、私はそのDNAをつないでいく伝道者になっていくということしか頭の中にないんですね。

大阪が開業した時も人材戦略だとか、いろいろ細かい部分に関わりましたが、最終的に何をしているかというと、リッツ・カールトンのDNAをきちんとした形で進化させる伝道者としての活動です。これが私の中で一番大事な心の立ち位置ですね。来年(※当時)4月に東京が開業しますが、そこでの私が関わるとすれば、再びリッツ・カールトンのDNAを形として表すことだと思っているんです。

コミュニケーションを通してお客様のことを知る、お客様に自分たちのことを伝えるという行為は、アメリカですら多くなかったはずです。

日本もそうでしょうが、サービス業の世界は、お金を払う側と払っていただく側、奉仕される側と奉仕する側の斜めの目線なんですね。携わる者が召し使い的な感覚でいる以上、どうしても本当のコミュニケーションは生まれません。

ところが、「サービスを提供する側も紳士淑女」と言われた場合、この意味を勘違いしてしまう従業員もいるんですね。ただ単に対等に口を利いてもいいんだと。これは大いなる誤解です。なぜかというと、お客様のほうが圧倒的に経験が豊富だし経済的にも豊かで社会的地位も高いわけです。

お客様の価値観が3メートルの物差しだとすると、従業員のそれは30センチの物差しかもしれないのです。この言葉の意味するところは、たとえいまは従業員の物差しが30センチでも、努力をすることによってお客様が3メートルの物差しで感じることを感じ取れるようにならなくてはならないということなのです。

お客様の生活は見ることができないし、体験することもできないのだけれども、コミュニケーションを通じてその思いや価値観を自分の物差しでつかむ努力をしていく。

これが「自分たちも紳士淑女」と言い切った一番大きな目的です。

例えば、入社してすぐに2日間のオリエンテーションがあるんですが、この2日間で、これまでの業種の中で経験できなかったリッツ・カールトン独特の価値観を教えます。かといって、その人が培ってきた価値観を捨てるわけではない。新しい価値観にバージョンアップするわけです。

またこのオリエンテーションは、採用が決まったスタッフを、いかに温かく迎え入れるかという2日間でもあるんです。新しい職場での緊張感と不安感を取り除き、早くリッツ・カールトンの一員として馴染ませてあげると同時に、そのホスピタリティーを肌で体感してもらうねらいもあります。

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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