カインズの顧客視点でのサービスが生まれる理由
カインズでは、PB以外にも、アプリが好評です。使い勝手が良く、新しい機能も早く多く追加されていることなどが、ユーザーの間でも話題になっています。10万種類以上ある商品からユーザーが欲しい商品を探す時に、即座にアプリでわかるようになっています。
また、店内で店員さんが、商品タグのついていないレンガや壁紙のようなアイテムの価格などを、画像で調べることができるようにもなっているそうです。
便利なアプリをスピードもって開発していくことを可能にするために、表参道にイノベーションハブという施設を作り、そこで社内でアプリを作成しているため、「お客様が困っているからこういう機能を追加して欲しい」といった、社内からの要望を素早くできるようにしているそうです。PBにしてもアプリにしても、かなり独自の路線です。
ホームセンター小売業界では、ここ10年横バイが続く中、他と同じことをしていてはいけない、という危機感をカインズは持っていたそうです。そこで考えたのが、「IT小売業」という戦略。カインズによると、自社を単なるホームセンターと捉えずに、「IT小売企業」と定義して、お客様の「ストレスフリー」「パーソナライズ」「エモーショナル」につながる、“買い物体験の価値向上”を進めているとのこと。
ものを売る会社、というだけでは、扱うものも似通ってきて、最後はどうしても価格競争になります。小売店、ではなく、お客様が実際に商品を使う時に、「何が提供できるのか」を考える会社だという意味でしょう。
「イノベーションを起こす」、ということは、簡単にはいきません。カインズから学べることは、
- 自社のビジネスの定義を見直してみる
- お客様の立場で考える組織にする
- 本気で取り組む
という点です。その意味で大変参考になる事例でした。