【第6回】世界の偉人たちが残した「人生最後の名セリフ」春日武彦✕穂村弘対談

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もし今日が人生最後の日だとしたらあなたは家族や友人にどんな言葉を残しますか? それを考えることはすなわち、自分の死に対してどう備えるかにもつながってきます。「俺たちはどう死ぬか」をテーマにした春日武彦氏と穂村弘氏の対談シリーズ、今回は世界の偉人たちが残した「人生最後の言葉」から生と死を見つめ直します。「ここで滑ったら、もう目も当てられない」なんてことにならないよう、みなさんも一緒に考えてみては?

春日武彦✕穂村弘「俺たちはどう死ぬのか? 」

第1回:俺たちはどう死ぬのか?春日武彦✕穂村弘が語る「ニンゲンの晩年」論
第2回:「あ、俺死ぬかも」と思った経験ある? 春日武彦✕穂村弘対談
第3回:こんな死に方はいやだ…有名人の意外な「最期」春日武彦✕穂村弘対談
第4回:死ぬくらいなら逃げてもいい。春日武彦✕穂村弘が語る「逃げ癖」への疑念
第5回:俺たちは死を前に後悔するか?春日武彦✕穂村弘「お試しがあればいいのに」

棺桶に何を入れるか問題

穂村 ミステリ小説とかを読んでいると、よく「遺言書」が出てくるよね。それが殺人の動機に密接に関わってて、みたいな形でさ。

春日 大富豪が、隠し子とか、家族以外の優しくしてくれた人とかに「財産をすべて残す」みたいな遺言書を書いたばっかりに連続殺人事件が起こって……みたいなね。

穂村 我々は自分の「死」に直接的にタッチすることはできないわけだけど、遺言というのは、それを非常に限定的にではあるけども可能にする数少ない機会かもしれないね。遺す財産とかがなくても、少なくとも「棺桶に⚫︎⚫︎を入れて欲しい」くらいのことなら頼めるわけじゃない。

春日 うちの親父は、そういった類の遺言は残さなかったな。だから、火葬の時に葬儀屋から「何か入れますか」って聞かれて迷った。本かなぁ? とかは思ったんだけど、親父が棺桶に入れるほど好きな作家が分からなくて。だから愛用してた、書き込みとかもいっぱいある薄いコンサイスの英和辞書を入れたよ。でも、あとで考えてみたら、三途の川で鬼と英語で喋ったりするかよ! って気がついて(笑)。

穂村 お母さんの時は?

春日 母親の時は何も入れなかったなぁ。好きだったクリスティーのポケミスでも入れれば良かったかな。

穂村 僕も別に遺言とかはなかったけど、母の時にはアイスクリームを入れたよ。

春日 え、本物の?

穂村 うん。甘い物が好きだったんだけど、糖尿病だったからさ。もう好きなだけ食べていいよ、という気持ちを込めて。家族が決める場合は、そんな感じで生前好きだったものか、あるいは愛用してたステッキとかパイプとかさ。

春日 俺らだったら何になるんだろうね。

穂村 やっぱり眼鏡とかになっちゃうんじゃない?

春日 眼鏡は、遺骨や炉を損傷する恐れがあるから、火葬の時は入れちゃダメみたいだけどね。骨壺に入れるのはOK。

穂村 あ、そうなんだ。いずれにせよ眼鏡じゃ、ステッキやパイプに比べて非日常性が皆無だから、ちょっと寂しいよね(笑)。ないと困るものだけど、もはや顔の一部だから、それほど特別感がないというか。ほんとは、ないと困る以上のその人を感じさせるものがいいんだけど。物書きなら、自著みたいなパターンもあるのかな?

春日 うーん、自分の本かぁ。

穂村 ほら、三途の川で鬼に挨拶できるじゃん。「私、こういう者です」って。

春日 名刺代わりにね。でもさ、鬼に「こんなバチあたりなもん書きおって!」って地獄に連れてかれちゃったりして(笑)。

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