新型コロナウイルスに対する過敏すぎる警戒が、マンションに思わぬ問題を引き起こしているようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが、誤った扱いによりエレベーターの操作盤が故障するケースが多発している事実を紹介するとともに、専門家が推奨する感染症対策を記しています。
エレベーター操作盤に消毒液を吹きかけないで！
こんにちは！廣田信子です。
新型コロナウイルスに感染する不安から、エレベーターの操作盤に手を触れることに抵抗がある人はまだまだ多いと思います。マンションでも、人がどうして触れなければならない共用部分のドアノブやエレベーターの操作盤の消毒には、気を使っていると思います。
最近、問題になったのは、エレベーターの操作盤に消毒液を吹きかけたことで、操作盤が故障し、交換をしなければならなくなったケースです。理事長から言われた管理員さんが頑張り過ぎた結果なのか、住民が消毒液を吹きかけたことが原因なのか定かではありません。修理費用は管理組合が持つのか、管理会社が持つのか…と揉めています。
エレベーターの操作盤に消毒液を吹きかけてはいけないということは、エレベーターのメンテナンス会社から通知があったはずで、さすがに共通の認識かと思っていましたが、必ずしも、行き届いていないようです。
実際に、エレベーター点検会社からは、押しボタンに消毒液を直接吹き付けたり、鍵やボールペンなど鋭利なもので押すことで、故障したり破損する事例がかなり発生していると聞きます。エタノールや次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒液が樹脂製のボタンに付着すると、ひび割れや表面の曇りや白濁が生じさせます。ボタンに直接スプレーすることで内部の電子部品に水分が付着してショートし、機器が故障する恐れもあるのです。何かとがったものでボタンを押すことで、ボタンが傷ついてしまって無残な姿になっているケースも見受けます。
操作盤の清掃は、乾いているか又は水に浸してよく絞った柔らかい布で拭く…のいうのが原則と言いますが、コロナ禍の中では、それだけでは、ウイルスを除去できないのでは…との心配が生じるのも当然です。
やむを得ず消毒液を使用する場合は、
- 塩素系漂白剤（次亜塩素酸ナトリウム原液濃度約5～6％）10mlを水500mlに薄めた溶液
- 消毒用エタノール（市販の消毒用エタノールまたは70～80％程度に薄めた無水エタノール）
のどちらかを、ペーパータオル等に含ませ、一方向で拭く。その後、固く絞った水拭きでこれらの消毒液を取り除く。スプレーなどでこれらの消毒液を噴霧、滴る状態での清掃は厳禁。
というような通知がエレベーター点検会社からマンションにも届いているはずです。
しかし、すべての住民にまでには行き届いていないのでしょう。管理員さんが定期的に清掃してくれていても、エレベーターに乗った人は、自分の直前に誰がボタンを触ったか分からない…ひょっとしたらウィスルが付着しているのでは…と心配で、とがったもので押したり、消毒スプレーを吹きかけてしまうことは充分ある得ることだと思います。私自身も、普通に指の腹でボタンを押すのがためらわれ、指関節の外側で押したりすることもありますから…。
感染症対策として、専門家に推奨されているのは、エレベータ─の操作盤の上からビニールシートを張ることです（以外に知られていませんが…）。ビニールシートの上からボタンを押せますし（熱感知型ボタンを除いて…）、住民の方が、消毒スプレーを吹きかけてしまってもとがったもので押しても、操作盤を壊したり傷つけずにすみます。ビニールシートの上からの清掃・消毒なら傷めないように気を使うこともなく、時間もかかりません。痛んだら取り換えも簡単です。抗菌、抗ウイルスのビニールシートはホームセンターで買えます。店舗等がレジとの境に貼っているあのシートです。
先日の意見交換会で、エレベータ─点検会社が、感染拡大が始まったら、すぐに操作盤にビニールシートを張ってくれた…というマンションもありました。適確な対応だと思います。
恐怖心は過剰な行動を引き起こすことがあるので、それによって新たなトラブルを生まないように、備えるのが重要だと思います。エレべーター操作盤を傷めないで消毒できるようぜひ、一度見直してください。まだまだコロナとの共存は続きますから…。
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