9月8日告示、14日投開票で実施されることとなった自民党の総裁選。岸田文雄氏、石破茂氏が早々と出馬の名乗りを上げるなか、ワンテンポ遅れた2日に立候補を表明した菅義偉氏は、さっそく党内の主要派閥である二階派、細田派、麻生派、竹下派などからの支持を取り付け、選挙戦を優位に進める形に。岸田氏、石破氏は苦しい戦いが続く。
そんな最中、岸田氏が自身のツイッターに投稿した一枚の写真が、大きな反響を呼んでいる。
夜のテレビ出演の合間に、地元から上京してきてくれた妻が食事を作ってくれました。
ありがたいです。#岸田文雄 #自民党総裁選 #束の間のひととき #妻の手料理 pic.twitter.com/tWWgML58l2— 岸田文雄 (@kishida230) September 1, 2020
「#束の間のひととき」「#妻の手料理」といったハッシュタグとともにあげられた、このツイートだが、これに対して「立ちっぱなしで控えて、お手伝いさんのよう…」「彼女はいつ、何処で食事するのでしょう。まさか台所?」「自宅でスーツで飯食うの?」といった反発の声が多く寄せられる事態となった。
また、ニュースサイト「ハフポスト」も、この写真に対して「言葉にできない違和感」「日本のジェンダーギャップに課題意識はあるか」といった主張の記事を更新。しかし、この記事に対しては、「いちゃもんだろ」「気持ちが悪い」といった批判が相次ぎ、逆にこちらも炎上状態となっている。
いくらなんでもいいがかりなのでは。 https://t.co/ewXDKzN6Ci
— Hi-Ten Driver@UGS25DW (@HiTenDriver) September 2, 2020
ハフポストの中村かさねっていう記者、頭おかしいんじゃねえか?なんでもかんでもいちゃもんをつけたがるダブルスタンダードのクソ輩。すごく普通の夫婦写真と思うが。よくここまで文句を言えるわ https://t.co/vLwk904gRw
— たけし@大阪↔️杭州 (@Gd2Oris) September 2, 2020
あいかわらずハフポスは気持ち悪いな。「すごく令和感」どうかしてる記事とライターさん。言葉にできない悪寒を覚え、鳥肌が止まらない。 https://t.co/rMiHgLPQCp
— ぐうたら (@shimaokayarou) September 2, 2020
岸田氏の晩ご飯は炭水化物抜き?
この写真に対しては、他にも「手料理にしては皿数が少ないのでは?」「スーツ脱げよ」「食事中なのになんでマスク」といった声も寄せられるなど、様々な方向からツッコミを受ける事態となっている。
岸田文雄の夫婦写真はかかあ天下すぎる!
もうちょい品数増やしてあげてくれ!#夫婦写真
— 日出処(ひでと)🇯🇵日本の大同 脱亜孤高 (@daitoua_nippon) September 2, 2020
ただ写真をよく見ると、手前の大きな皿以外にも、その奥にプチトマトが見える皿があるし、さらに箸が置かれている器も、その奥の味噌汁の椀と比べて高さが低いことから、白飯ではなくおかずが入っていたのではないだろうか。となると、おかずは1皿ではなく2~3皿は供されていた可能性が高い。
そもそもツイートには「夜のテレビ出演の合間」とあり、投稿時間も午前0時過ぎと深夜。夜遅くの食事ということで、傍目から見ると寂しい食卓になっているとも推測できる。またそんな時間であれば、奥様はすでに食事を済ませている可能性が大だし、「スーツ脱げよ」というツッコミについても、上記の通りテレビ出演の合間ならば、わざわざ脱ぐことはないだろう。
さらに付け加えるならば、もし先の“3皿目”が白飯ではないとすると、夜は炭水化物抜きにしている可能性もあり、写真の手前に置かれた味ぽんも含めて、岸田氏は実にヘルシーな食生活を志向しているとも読み取れよう。
〇〇警察への配慮が違和感を生んだ?
いっぽう「食事中にマスク」「奥さんも座れば?」というツッコミに関しても、ネットからはソーシャルディスタンスなどを気にしたものではないかという推察が、ネットからは多くあがっている。
岸田さんの写真。個人的には、コロナ禍において、マスク着用、ソーシャルディスタンスを守るなど、感染予防が意識されてたから、ああいう構図の写真になったと思ってた。別にそうじゃなくても、仲良さそうなご家庭でいいじゃない
— 山田・ミランダ・奈緒子 (@aoi7j) September 2, 2020
岸田さんの例の夫婦写真に文句言う人は、並んで座って食べてたら「ソーシャルディスタンスがなってない!家庭内感染が増えてるのに危機管理がなってない!」って言うんだろうし、遠くに座ってたら「夫婦仲悪いんじゃない?」と叩くんだろう
— あしたはしろねこ (@tecotecopun) September 3, 2020
岸田さんの写真は
撮影:岸田秘書
の一文つけておけばよかったのわさ— はるぴち(oil) (@haruyadotnet) September 3, 2020
岸田氏が投稿した写真だが、多くの方が指摘する通り、家庭内のありのままの姿をそのまま切り取ったものではなさそうで、岸田氏の秘書なりスタッフが、氏のイメージアップを図って、ある程度の演出込みで撮られたものではないかというのは想像に難くない。
不特定多数に見せることを前提とし、イメージアップが図れるようなほのぼのしたものを狙う反面で、思わぬ揚げ足を取られないような写真を……特に最近ネット上やリアル社会を問わず声が大きい、マスク警察やソーシャルディスタンス警察といった類からの指摘を受けないように、といった意識は大いにあったのと思われる。そこで誕生したのが、家庭内なのにマスクばっちりで、夫婦の距離も微妙に離れ気味という、あの写真だったのではないだろうか。
官房長官を長らく務めた管氏に、総裁選常連の石破氏といった両氏に比べ、知名度の面で少々劣るのは否めない岸田氏。今回の写真はその払拭を図るものだったろうが、思いも寄らない反響を呼ぶ結果となってしまった。
実際、マスクやソーシャルディスタンス云々のツッコミはほとんどなく、撮影した岸田氏のスタッフが苦心したであろう配慮は実る形となったが、まさかのジェンダー論でのツッコミは痛恨の極み。政権与党への批判ありきで叩こうとしている手合いは置いとき、そういった先入観のない人々が今回の写真をパッと見て、伝え手が思いも寄らなかった、そういったイメージを抱かれてしまうのは、もはや止めようがない。
安易なイメージ戦略が諸刃の剣であることを、岸田氏サイドは今ごろつくづく痛感しているのではないだろうか。