「石破は嫌」しかない自民党の病理。菅義偉政権が日本の未来を破壊する

 

二階氏の老獪な策謀に絡めとられて

これによって二階幹事長は菅政権でもまだ続くことが確定した。首相は安倍氏の女房役だった菅氏で、幹事長も変わらないのでは、「安倍なき安倍政権」が続くのと同じことで、従ってこの7年8カ月の安倍政治の功罪も正面切って論じられることもなくスルスルとポスト安倍時代へと滑り込んで行くことになる。

菅氏は8日告示の総裁選に向け、形ばかりの政策集を発表したが、メインのキャッチフレーズは「自助・共助・公助」という陳腐極まりないものだし、6項目の政策も要するに安倍政権時代のものをそのまま踏襲するというだけの気の抜けたものでしかなかった。元々この人には策略はあっても政策はなく、まして理念など何も持ち合わせていないのは分かってはいたけれども、それにしてもこういう時にもう少し気の利いたことを言えるよう助けてくれるブレーンもスピーチライターもいないのが驚きである。

コロナ禍でいままでの世の中のあり方そのものが問い直され、誰もがこれからの生き方を模索せざるを得なくなっているこの未曾有の難局にあって、指導者が国民に語ることがあるとすれば、それはこの先に一体どういう国、社会を作って行くべきかの哲学であり、文明論であり、歴史観であるはずである。本当なら、別に安倍政権が力尽きていなかったとしても、このヘンテコリンだった政権の7年8カ月を徹底総括しながらこの国の行く末について大議論を巻き起こすべき時節だというのに、そういうことに一番縁のない人が永田町内の都合だけで首相になってしまうのを防ぎようもないというこの国の不幸である。

この政権の前途はしかし多難で、最大の課題はコロナ禍の押さえ込みがどこまでのスピード感をもって進められるかということと、五輪の開催か縮小か中止の決断のタイミングの兼ね合いである。経済はめちゃくちゃでなすすべもなくたちまち1年が過ぎて、短期暫定政権になり終わる可能性が大きい。その1年後までに野党の合同新党はどこまで力をつけているか。それ次第で政局は大変動期に突入するかもしれない。

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2020年9月7日号より一部抜粋)

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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