最大の悪は「中国共産党」という事実
どちらにしても、彼らの思想や発言と撮影場所が批判されたことで、作品が埋もれてしまうのは残念です。この件について、ディズニー本社の広報は特にコメントをしていません。この件で責められるべきは、共産党を擁護した劉亦菲かもしれませんし、トルファンでの撮影を問題視しなかったディズニー本社かもしれません。
もちろん、こうしたボイコットが続けば、中国で撮影するリスク、中国を擁護する発言をすることのリスクが顕在化するとは思います。撮影場所は中国以外にしておけばよかったと思いますし、劉亦菲もディズニーも批判されても仕方ないとは思います。「すべてが政治」である中国と絡めば、どんな芸術作品も政治化してしまうのです。そのことに思いが至らなかったのは、製作者側の落ち度でしょう。
ただ、忘れてはいけないのは、最大の悪は中国共産党だということです。中国と関連したということで、作品を批判、ボイコットすることだけが自己目的化してしまっては本末転倒です。
ウイグル人を搾取し虐げているのは中国共産党です。『ムーラン』ではありません。そこを混同してはいけないと私は思います。女優やディズニー社に目を奪われ攻撃力が分散するよりは、共産党に攻撃を集中させれば世界は共産党を排除することができるかもしれません。コロナ禍後の世界はその可能性に向かって努力するべきでしょう。
ディズニーが主張すべき、「ムーランは周庭さんだ」
また、ディズニーも中国のカネ目当てではないことを示すためにも、今度は香港の民主活動家、周庭さんをモデルにした映画をつくったらどうでしょう。そうすれば、バランスがとれるのではないでしょうか。あるいはディズニーが「ムーランは周庭さんだ」とアピールしてもいいかもしれません。せっかくすばらしい作品なのですから、そう宣伝したらどうでしょうか。
ムーランは中国に侵入してきた北方騎馬民族のフン族を、男装の女性戦士が撃退する話ですが、北方から来た悪の中国共産党を撃退しようとする周庭さんにも重なるのではないでしょうか。
実際、香港では「周庭さんこそ真のムーランだ」という声も少なくありません。女性の不屈の精神を描いた作品だけに、作品を封じるよりも、そうした拡散の仕方のほうが、人々に届くのではないかと思います。
● 保釈された民主活動家・周庭さん、ディズニー映画にちなみネットで「香港版ムーラン」の声
『新型肺炎 感染爆発と中国の真実
~中国五千年の疫病史が物語るパンデミック』
好評発売中!
image by: Kathy Hutchins / Shutterstock.com
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年9月9日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。
こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー
※ 初月無料の定期購読手続きを完了後、各月バックナンバーをお求めください。
2020年8月配信分
- チベット人の自由と権利のために戦った女戦士の死/世界が辟易し始めた韓国のご都合主義とOINK(8/26)
- ドル経済圏から追放される中国の焦り/台湾に受け継がれる日本人の自然観(8/19)
- なぜいま中国は香港民主活動家を次々逮捕するのか/香港潰しの次に中国は確実に台湾を狙う(8/12)
- 反日親中メディアの終焉/李登輝元総統との思い出と台湾が抱える課題(8/05)
2020年7月配信分
- 銅像で相手を貶めるのは中華の文化/ようやく中国の本質を理解したアメリカ(7/29)
- いよいよ日本企業も中国企業との取引が生死を分けるときがきた/三浦春馬氏の死に衝撃を受ける台湾(7/22)
- 中国にとって国際法とはなにか/「台湾鉄道の父」を日本人から中国人に変えようとする姑息な動き(7/15)
- 日本も本気で中国のスパイ対策に乗り出すべきとき/徴用工問題の報復を恐れる韓国が狙うWTO事務局長(7/08)
- 次は台湾を狙う中国と、滅びゆく香港の力を結集する台湾/三峡ダム決壊が招く中国分裂(7/01)
2020年6月配信分
- 朝日新聞が「中国の宣伝機関」としてアメリカに認定される可能性/ゲームの中で展開される反中闘争(6/24)
- もう歴史問題で韓国を相手にしても意味がない/ついにウイグル化がはじまった香港(6/18)
- 中国に近づいてやっぱりバカを見たインドネシア/台湾で国民党独裁からの民主化を描いたドラマ解禁(6/10)
- 中国のアメリカ暴動への関与疑惑が出はじめた/コロナで中国は旧ソ連と同じ道を辿るか(6/03)
2020年5月配信分
- 中国制定の「香港国家安全法」が日本の護憲派を殺す/親中カンボジアの「中国に近づきすぎたツケ」(5/27)
- 中国の恫喝はもう台湾に通用しない/世界が注目する蔡英文の総統就任スピーチ全文(5/20)
- 「元慰安婦」から反日利権を暴露された韓国慰安婦支援団体/中国から台湾に逃げてくる動きが加速(5/13)
- アメリカが暴露した中国の悪質な本性/韓国瑜へのリコール投票に見る「コロナ後の台湾」の変化(5/06)
2020年4月配信分
- 世界からの賠償要求5500兆円!中国は破産するか/他国へも情報統制を求める中国の卑劣(4/30)
- 「アベノマスク」も被害。今度は不良品マスクを世界に拡散する中国/フルーツ天国・台湾は日本人がつくった(4/22)
- コロナ発生源の中国が今度は黒人に責任転嫁/台湾発「WHO can help?」が世界に問いかけること(4/16)
- もう国民が国内旅行を楽しむ台湾と、緊急事態宣言の日本(4/08)
- 台湾の民主化とともに歩んだ志村けんさん/死者数の嘘が暴かれ始めた中国(4/01)
2020年3月配信分
- 欧州の新型コロナ感染爆発は中国共産党員が原因だった/国内では隠蔽、海外では恩の押し売りを続ける中国(3/26)
- 習近平の「救世主化」と天皇利用への警戒/小国発展のバロメーターとなる台湾(3/18)
- 【台湾】新型コロナ対策で注目される台湾の若きIT大臣が日本に降臨!?(3/11)
- 新型コロナへの対処法は「中国断ち」をした台湾に学べ/新型肺炎の責任を日本に押し付けはじめた中国(3/05)
2020年2月配信分
- 『韓非子』の時代から何も変わっていない中国(2/26)
- 「中国発パンデミック」はなぜ厄介なのか/蔡英文再選後、ますます進む日台連携(2/19)
- 新型肺炎のどさくさで反体制派狩りをする習近平の姑息/戦後日本の軍事研究忌避が新型肺炎の感染拡大の一因(2/12)
- 新型肺炎が世界にとって思わぬプラスとなる可能性/疫病のみならず他国に厄災をばら撒く中国(2/05)
2020年1月配信分
- WHOを操る疫病発生地・中国の魂胆(1/29)
- 「中国発パンデミック」はなぜ厄介なのか/蔡英文再選後、ますます進む日台連携(1/22)
- 中国の目論見がことごとく外れた台湾総統選/ご都合主義の中国が民主主義と人類を危機に陥れる(1/15)
- 黄文雄メルマガスタッフの台湾選挙レポート(1/13)
- 文化が残らない中国の宿命/中華にはびこる黒道治国と台湾総統選挙を左右する「賭盤」(1/08)
- 謹賀新年のご挨拶―激動の年の幕開け(1/01)