(2)本当の意味での寄り添いとは
今、アメリカを中心に起きているBlack Lives Matter運動などは、文化や歴史の違いなどから、多くの日本の報道は、この大坂選手の行動を「人種差別に抗議するために…」とか、政治とスポーツを一緒にするなといった意見も出ていたりする。
また、黒人差別は問題だということはわかるけども、イマイチ共感を得づらかったり、アメリカで起きている様々な現象を理解しにくかったりするという人も多いだろう。それは当然のことだと思う。だって、当事者ではないし、もし理解できるという人がいてもそれは偽善だと思う。
当事者じゃないし、実際に経験もしてないのに話を聞いただけでわかるわけなどないのだから。そんな簡単なことじゃない。じゃあ、当事者以外はどうしたらいいのか?その答えの1つを大坂選手はUSオープンで示してくれた気がするのだ。
否定するでも非難するでもなく、こういう事実があったということを広めることに徹していて、結果的にご遺族の方々に心から寄り添う形になったのではないかと感じている。もしかしたら多くを語らないことで逆に強いメッセージとなって伝えられているのかもしれない。
大坂選手の謙虚だけど、心のこもった力強いお言葉に、だからこそ今、全米が感動しているのだろう。せっかくなので、当該インタビューを見ていただくと、Black Lives Matter運動などに関する今のアメリカの空気感を少しでも感じて頂けるのではないかと思う。
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