韓国を危機に陥れる南北朝鮮統一の夢。文在寅の謀反は米国が許さない

 

米国からも出た文政権批判

注目すべきは、同盟国の米国から韓国批判の言説が出始めてきたことである。米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』(9月11日付寄稿「韓国の活動家弾圧、北朝鮮に倣う行為」)は、下記のように指摘している。筆者のジョシュア・スタントン氏は、米国の弁護士。もう一人のイ・ソンユン氏は、米タフツ大学フレッチャー外交大学院助教である。

「文(在寅)氏の最終的な目標は2045年までに南北を統一させることであり、1990年のドイツ統一の条件とは異なる条件を受け入れる意向だ。同氏は国会に対し、『イデオロギーや制度の違い』を超越し、『朝鮮人主導による独立した統一』──これは『米国から独立している』という意味で北朝鮮が使用している文言──を達成するための北朝鮮との一連の合意を批准するよう要請する計画だ」

ここでの指摘は、韓国が民主主義を捨てても北朝鮮と統一するとしていることだ。その際は、米国から独立(米韓同盟破棄)するという青写真である。実現すれば、朝鮮半島が大きく左傾化する。

こういう青写真が、米中対立の長期化の中で実現する可能性があるだろうか。旧李朝で混乱した外交戦略では、清国(中国)を後ろ盾にする案と瓜二つである。米国政府は、文政権の底意を知った現在、急速に韓国へ冷淡な態度を取り始めている。その一例を示したい。

韓国外交部の崔鍾建(チェ・ジョンゴン)第1次官が9月11日、米国務省のスティーブン・ビーガン副長官と会談した。崔次官は会談後、「(米韓両国が)外交当局の局長級実務協議体の『同盟対話』を新設することで共感した」と発表した。米国務省は即時に、「(新設に)同意したことはない」と崔次官発言を否定したのだ。そして、「おそらく今後もやらないだろう」と語った。『朝鮮日報』(9月12日付)が報じた。

この食違いは、なぜ起こったのか。米国側が、韓国に言質をとられないように警戒姿勢をとっているからだ。米韓には、同盟国関係においてあり得ない冷え冷えとしたものを感じるのである。米国は、韓国に対して次のような発言をしている。

米国側は、「(ビーガン)副長官と(崔)次官は防衛費分担特別協定(SMA)を話し合い、米韓同盟が堅固な力を再確認しつつ、今後数世紀の間、インド・太平洋地域の平和と繁栄のための力として維持され得るよう同盟を強化する案を話し合った」とだけコメントした。米国のこうした反応は、既存の米韓間の協議体もきちんと稼働していない状況でまた別な協議体を作ろうということに対する拒否感だと解釈されている。

米国は米韓同盟が、今後数世紀の間にわたって、インド・太平洋地域の平和と繁栄に寄与するように、同盟強化案を話し合ったと説明している。これは、米中対立が長期に及ぶ覚悟を韓国に求めたものだ。文政権による素朴な「南北統一論」は、米韓同盟の共通テーマでなくなっていることがはっきりしている。韓国は、こういう国際情勢の変化をまったく認識していないのだ。こういうギャップを抱えている以上、米韓同盟が軋むのは不可避であろう。韓国が、子どもなのだ。

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