破綻の韓国外交バランス論
中国牽制に向けた米国のインド太平洋戦略が、日本、米国、豪州、インドによる「4カ国安全保障対話」(クアッド、QUAD)などで具体化されている。韓国は、米中両国の間で「外交的バランス」を守ろうと、中立化を狙っている。これは、文政権が旧李朝同様に、国際感覚の欠如を証明している。現実的に言えば、中立は不可能である。それぞれ、米中から信頼されないからだ。
先に取り上げたように、ビーガン米国副長官と韓国外交部崔第1次官は、今後数世紀の間、インド・太平洋地域の平和と繁栄のための力として維持され得るよう米韓同盟を強化する案を話し合った、とされる。中国が世界覇権を巡る争いから脱落しない以上、アジアを舞台に緊張関係が続くと見なければならない。それは、共産主義と民主主義の正統性の争いとなろう。
そうなれば、韓国の南北統一論も中国接近論も、すべて民主主義を足蹴にする行動と映るはずだ。朝鮮戦争で共産主義の暴力に蹂躙された韓国国民が、南北統一論も中国接近論も受入れるはずがない。韓国世論調査では、南北統一も中国接近論も一桁の低い支持率である。文政権はこういう世論を無視して、強引に韓国をあらぬ方向へ引っ張っていく「暴力集団」と化している。
WSJの寄稿で筆者たちが、文政権は民主主義を捨てても北朝鮮と統一し、米国から独立(米韓同盟破棄)する青写真を持っていると指摘している。これは単なる憶測でなく、高い確率であると言えるだろう。文政権は、民主主義国家転覆罪に該当する危険な振る舞いである。
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