韓国を危機に陥れる南北朝鮮統一の夢。文在寅の謀反は米国が許さない

 

無知!米軍に指揮権寄こせ

子どもと言えば、文政権は頻りと韓国が、戦時作戦統制権(作戦統帥権)の移管を在韓米軍に求めている。現状では、米軍が作戦統帥権を持っており、韓国軍は米軍の指揮下で行動する義務を負っている。これを是正して、韓国軍が作戦統帥権を持ちたいと言うのだ。だが、在韓米軍は文政権在任中、移管しないと示唆した。

もともと、朝鮮戦争では国連軍の名の下に有志国が派兵し、北朝鮮軍と中国義勇兵と戦った経緯がある。国連軍の指揮は米軍が代行している。朝鮮戦争は現在、法的には休戦中である。それにも関わらず、作戦統帥権が米軍から韓国軍に移譲されるのは、国連軍の解体という事態を迎えるのだ。

文政権が、朴政権と異なり早急な作戦統帥権移譲を求めているのは、政治的な意図が隠されていると在韓米軍を警戒させている。具体的には、在韓米軍を骨抜きにする「悪だくみ」をしているのでないかと疑われているのだ。

在韓米軍のエイブラムス司令官は、「われわれが直面する挑戦の一つは、他の政府や他の指導者たちが『あ、それは正しくない。われわれにはこれをすべきだ。あのようにすべきだ』と言ってくることだ」(『朝鮮日報』9月12日付)と疑惑の核心部分を示唆している。それは、中国が韓国の防衛政策に干渉している事実だ。こういう状態で、韓国軍が作戦統帥権を持ったらどうなるか。在韓米軍まで危機に陥るであろう。

文政権は2017年10月、中国に対して次のような安全保障上の重大問題(三不政策)を約束させられた。韓国が、THAAD(超高高度ミサイル網)1基を導入した際、中国の安全保障を著しく阻害すると因縁をつけられ、経済制裁を韓国に加えた。文政権は苦し紛れに、中国の要求する下記の「三不政策」(軍事面で3つのことをしないという約束)を文書にして中国に渡した、とされている。

  1. 米国のミサイル防衛(MD)体制に加わらない。
  2. 韓米日安保協力が三カ国軍事同盟に発展することはない。
  3. THAAD(サード)の追加配備は検討しない。

これら3つの安保政策は、韓国固有の自衛権を発動させないようにする「属国扱い」の違法行為である。米国が、こういうことを苦もなく約束する文政権の存在に、根本的な疑惑を持って当然であろう。国防問題の認識がゼロ同然の文政権相手に、作戦統帥権を移譲すれば、米軍に予想外の損害を及ぼされると危惧するのだろう。

もう一つ、米中対立の長期化を前提とすれば、作戦統帥権移譲問題は空論である。米軍は世界中に広く展開しているが、他国軍の指揮下に入ったことはない。世界最強軍事国家が、メンツにおいても韓国軍の指揮下に編入されることはあり得ないのである。韓国は、「世間知らず」で在韓米軍にこういう無理難題を突付けている。非常識と言うべきだろう。韓国の潜在的「中国詣で」を考慮すれば、作戦統帥権移譲は前記の「三不政策」と絡んで、「どうぞ在韓米軍を攻めて下さい」と言うに等しいのだ。

韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保担当特別補佐官が、私人(延世大学名誉特任教授)肩書きで『ハンギョレ新聞』に寄稿した論文がある。中国が「覇道」(武力による覇権)を狙っていると批判し、「王道」(道徳による覇権)で行くべしと諭した内容である。これが、韓国外交の方向転換を示唆したものか、もちろん即断はできない。文政権の外交路線は、これにそって変わればプラスだが、単なるアドバルーンに終われば、期待しても無駄である。米韓同盟は、日米同盟をモデルに精神的なつながりを強化することだ。

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