【書評】もはや脅迫。太宰治が借金依頼状に書いた「死にます」

 

太宰は、自分には文学の才能があると信じていた。才能があるからお金は他人から借りてもいい、お金を借りてでも自分の才能を磨かないといけないといった強烈な自意識があった。芥川賞が欲しいあまり、川端康成に「刺す」とまで言った。しかし、他人はそう簡単に助けてはくれない。苦労に苦労を重ねて、身も心もボロボロになり、昭和23年、愛人の山崎富栄と心中した。

今東光がつけた「ミミズクみてえな顔」とは言い得て妙、川端康成の顔だ。大正10年頃、今は川端と一緒に菊地寛を訪ねた。川端は何も言わない。一時間くらい黙っていてから「二百円要るんです」といきなり言う。「いつ要るの」「きょう」まるで借金取り。菊地は大きな財布から十円札を揃えて出し「さよなら」、それでおしまい。借用書なし。言葉よりも目で殺すノーベル文学賞作家の交渉術。それにしても、いわゆる文豪たち、イヤな人物ばかり。

編集長 柴田忠男

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