山口達也を破滅させた“本当の容疑者”フジテレビと警察の欺瞞を暴く

 

テレビの事件報道は「断罪」あるのみ

せめてもの救いはNHKだ。

木曜日の朝だったと思うがニュースを見ていたら、アルコールの専門家が依存症の可能性が高い(本当は診断基準を満たすのだから依存症と言っていいが)ことや、ちゃんと1回目の事件のときに自助グループに入っていたらこんなことにならなかったと論じていた。ビール会社の元社長が会長だった時代にはこのような報道は許されなかっただろう。今の会長は多少健全なようだ。

事件報道は、断罪のためでなく、これからこのような事件が起きないためという観点からいうとこのようなソリューションをセットにしないと意味がない。

自殺報道でも、ちゃんと命の電話などを伝えるべきだ(一部のテレビ局ではそうするようになった)。

私もソリューションを伝えたのにボツにされた。フジテレビはそういう局なのだろう。

「昼間に検問をしない」警察にとって不都合な真実

さて、飲酒運転がアルコール依存症だというのは、警察にとっても不都合な真実である。免許の更新で試験場に行くと、飲酒運転断罪のビデオを見せられたあげく、警察OBの講師が「なんで、こんなことをわかっているのに飲酒運転を続ける人がいるのかわかりません」とほざく。

わかっているのにやめられないのが依存症だ。

でも意志の力でやめられるという話にしておかないと警察としても捕まえにくいし、アルコール飲料の会社にも規制がかかるし、テレビ局は堂々とCMが打てない。

そのためにアルコール依存症の啓蒙が遅れ、それが未治療のまま、肝臓病や自殺で死んでいく人が多いのが日本の現状だ。

警察もテレビ局の社員も人が死ぬことには抵抗がないからこんなことになるのだろう。

アルコール依存症の人たちだって、まずいことはわかっている。

だから、酒を買いに行くことを含め、検問のない昼間を狙う。

私の見るところ警察もそれをわかっているのではないだろうか?

昼間に検問をすると50人に一人はアルコール依存症なので、ひっかけることはできる。でも、それをすると実は飲酒運転が思ったより危険でないことがばれてしまう。

実際、アルコール依存症の人も昼間は検問がないが、事故を起こすと酒臭いと検査を受け、免許を失うからかなり慎重に運転する。私もかつて(30年以上前、茨城の病院に勤めていた頃)は飲酒運転の常習犯だったので、酒を飲んでいるときのほうがスピードも出さないし、なるべく捕まらないように事故を起こさないように、昼間と比べてはるかに大人しい運転をしていたのでよくわかる。

現実にアルコール依存症の人は日本で200万人いると推定されているのに、飲酒事故は年間わずか3,047件(令和元年統計)、いかに飲酒運転が実は安全かを物語っている。金持ちのボンボンがポルシェに乗って飛ばしまくるほうがはるかに危ないが、金持ちや政治家のボンボンを捕まえるのは、あるいは免許を取り上げるのはまずいから積極的に取り締まらないし(首都高をみればわかる。田舎は警察のいじめの対象なので田舎の高速のほうがはるかに覆面が多い)、罰則も重くならない。

かくして地方の食文化(ほとんどが飲酒を伴うため)が潰され、跡地にパチンコ屋が立って定年後の警察の天下り先が守られるという構図が続いている。

このような不都合な真実が知られないためにも、飲酒運転とアルコール依存症を結びつけるのが避けられるのだろう。

警察がひょっとしたら、そのような報道をしたら情報をやらないぞと脅しているのかもしれない。

実際、山口達也さんも、警察が捕まえたからといってまだ有罪と決まったわけではないのに犯人扱いして報道されるのに、アルコール依存症に関しては診断基準を満たしているのに、そのように報じたくないというフジテレビのような局が厳然と存在するのだ。

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