迷いや悩みを抱えているように見える部下が、相談を持ちかけてこないことに歯がゆさを感じているという方、それはもしかしたらご自身に問題があるのかもしれません。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、かつて自身が経験してわかった「相談されない上司」が陥っている好ましくない状況と、そこから抜け出す方法を紹介しています。
双方向で相談する
私が以前、あるお店で店長になったばかりの頃、部下であるスタッフからの相談を受ける機会がほとんどありませんでした。スタッフたちの様子を見ていると、明らかに接客とか仕事のことで悩んでいる様子なのにも関わらず、一向に相談を持ちかけてはくれないのです。「わからないことがあったら聞いてね」と伝えているにも関わらず、その状態はしばらく続きました。
当然、店長としては、わからないことがあるのにそのままになっている状態は非常に困るので、こちらから積極的に声をかけてはいきます。しかし、それでも話をしてくれることはなかなかありません。
そんな私も、後にその理由を知ることとなります。その理由とは、信用が無かったことです。
私は店長として店を引っ張っていかなければいけないと強く思っていました。そのせいか、私が悩んでいたり、やり方に困っていた時にも、自分の上司に相談をすることはあっても、部下たちに相談を持ちかけることはまずありませんでした。部下には相談してねとか言いながらも、自分が部下に相談することがなかったのです。
相談もコミュニケーションの一つと言えますが、コミュニケーションというのは双方向で成り立つ話です。一方が一方的にするものではありません。その状態に気づかずに、コミュニケーションが成立していなかったため、信用してもらえていなかったのですね。なんとも情けない話です。
よくよく考えてみると、私が相談をしていた上司というのは、私にもよく相談をしてくれていました。「坂本はどう思う?」と聞いてくれていたのです。
当時の私はただ単に意見を求められていると思っていたのですが、それによって自然とコミュニケーションが成立していて、私もその上司への信頼が厚くなっていました。答えは目の前にあったのです。
ですが、いざ自分の立場が変わると途端に見えなくなってしまっている。この状況の改善には結構な時間を要しました。
部下がなかなか相談を持ちかけてくれない、聞いて欲しいのに聞いてくれないという悩みを持っている上司の方もいるかも知れません。しかし、そういう場合、自分自身はどうでしょうか。部下に対して積極的に相談したり、意見を聞いてみたりできているでしょうか。
何度も言いますが、コミュニケーションはお互いにし合うものです。悩み相談もその一つ。部下からの相談を待つばかりではなくて、自分から相談できる関係性を築きましょう。
今日の質問です。
- あなたが信頼する上司は、なぜ信頼できる上司なのでしょうか?
- その理由を自分も部下や後輩に対して持つとしたら、どんなところを改善しますか?
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