トランプvsバイデンのTV討論会は「非言語の闘い」プロが徹底分析

 

6つのテーマで討論

1テーマに15分。テーマ決定および司会はフォックスニュースのクリス・ウォレスさん。

<6テーマ>

  • 両候補の実績
  • 連邦最高裁判事
  • 新型コロナウイルス
  • 経済
  • 人種問題と治安
  • 選挙の公平さ

ボタン外しとポケットチーフ。両者の「第一印象」を比較

ご両人が登場、いずれも紺のスーツ。

画面背景は薄いブルーでしたから、濃紺はよく映えます。ステージの足元は、赤い円形に星マークが入ったカーペットです。あえて舌戦を落ち着かせるような、夜空のような雰囲気が。

会場には、もちろん人はいません。トランプ氏、バイデン氏、司会のクリスさんだけ。

トランプさんは白いシャツ、紺に細い赤のストライプが入ったネクタイ。やっぱり今日もジャケットのボタンは閉めていらっしゃいません。

トランプさんのボタン外しは、前回選挙からの謎。パリッとスーツを着こなす姿も米国大統領のイメージだったのですが、トランプさんになって大きく変わってしまいました。

一方、バイデンさんは、というと、ちょっと意外なネクタイの柄、シルバーと紺のシマシマストライプです。ぱっと見て顔色が明るく見えましたが、もう少し縞が細かったらテレビ的にはハレーション(目がチカチカする状態)が起きそうな感じで、ちょっと気になりました。

さらに! ポケットチーフが目を引きました。3つの山がある形「スリーピークス」でしたでしょうか。それがかわいらしく胸ポケットから覗いていて、なんだか懐かしささえ感じる。庶民的な面もお持ちのバイデンさんらしさかな、と思いました。

90分立ちっぱなし、水も飲まない持久戦。それに耐えられるように、でしょうか、両者が立つ演壇の縁には、ぐるりとレザー調の手すりのような部分があります。そこに両手を置いて話せば、安定して立っていられる工夫が見えました。

冒頭からトランプ陣営の戦略?

ディベートが始まるなり、場がヒートアップ。

司会やバイデンさんが話し終わらないうちにトランプさんが話し出します。冒頭で場を占有してバイデン候補を圧倒しよう、というトランプさんの戦略でしょうか。

司会者も、トランプさんに「ちょっと待ってください、質問させてください」を連呼。

それでもやめないトランプさん。バイデンさんは話そうにも話せないため、しばし下を向いて我慢する様子も何度もありました。

討論というより、奪い合いのような感じです。有権者は、この様子をどう捉えたのでしょう。

カメラ目線で国民に訴えがバイデン陣営

特に印象に残ったのは、バイデンさんはカメラ目線で国民に訴えかける発言が多かったことです。

「(トランプ氏は)皆さんの健康、安全を脅かそうとしているのです」

など、複数回語りかける場面がありました。

一方で、「あなたは史上最低のアメリカ大統領だ」「トランプ大統領は嘘つきです」と強く発する場面も。これはニュースで切り取られるハイライトになると思います。

激しく応戦する姿と、トランプさん発言時には落ち着いてトランプさんを見る姿。全体的に安定していた印象ですし、当初心配されていた年齢による健康問題も、気になりませんでした。姿勢も良く、トランプさんからどんな攻撃があっても笑顔で流す余裕がありました。

トランプさんは、常にバイデンさん目掛けて激しく攻撃する姿、自画自賛コメントが目立ちました。

「コロナ対策は良くやったと評価を得ている。ワクチンも数週間でできるだろう。マスコミはフェイクを流すが、私はいい仕事をしている」

トランプさんが話す際の特徴は、いくつかあります。ジェスチャーは右手が多く、親指と人差し指をつけて、左右上下に振るのがトレードマークのように何度も。また、体をでんでん太鼓みたいに少し揺らすのですね。アゴも左右に振りながら、言葉を発します。

今回もトランプ節が絶好調の話ぶりですが、バイデン攻撃に徹し、国民に向けたメッセージ、想いのような言葉は見当たらなかった印象です。

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