トランプvsバイデンのTV討論会は「非言語の闘い」プロが徹底分析

 

米大統領選、非言語メッセージの歴史

そもそもはテレビが登場したことが発端です。ケネディVSニクソンがモノクロの画面に映ったとき、ダークスーツに身を包んだケネディさんがはつらつと映り、薄い色の上着のニクソンさんには、頼もしいリーダーの印象とは言いづらかった。

ラジオ放送ではニクソンさんがパワフルだと言う印象もあったそうですが、声、顔、姿のトータルで、ケネディさんに支持が集まり、勝利。

この時から、大統領候補は皆イメージ戦略に力を入れてきたわけですが、それでも完璧とはいかないようです。

  • ハンカチで汗を拭いたニクソンさん。汗が出ているなんて、焦ってる? 緊張してる?
  • 相手候補が話す内容に首を振り、溜息をつくゴアさん。ちょっと傲慢に見えた?
  • 相手の話を聞きながら腕時計をチラ見したパパブッシュ。人の話を聞く態度ではない?

このように、過去の非言語的失態例を見ると、自分が話している時”以外”にポイントがありました。

自分が話しているときは緊張感を持てます。でも、聴衆はそれ以外の瞬間を見ているものなのです。

ふとした瞬間にボロが出る、素顔が覗く。

非言語メッセージの恐ろしさは、そんな盲点を突かれること。気を抜いた瞬間、あるいは日々のちょっとした癖。これが命取りになる可能性があるのです。

みなさまも、非言語には要注意!

トップの立場は、いつどこでどう見られているかわからない。これはスピーチトレーニングの際にも、口を酸っぱくしてお伝えしています。普段のコミュニケーションでも、些細な仕草が相手に何かを伝えているかもしれません。

テレビ同様、オンラインでの発信する際にはこの非言語に注意が必要です。四角い画面に映ると額縁に入ったように見えるため、全ての視覚聴覚情報が強調されます。

姿がちょっと揺れただけでも安定感がないように見え、ふと指が顔に触れただけでも、弱さ、不安要素に見えてしまうのです。

実際の例を挙げますね。

シンポジウムのパネリストとして登壇された方に同行していたときのこと。その方は、真剣に他のパネラーの話を聞いていらしただけなのですが、眉間に深いシワを寄せて話し手をじ~っと凝視。

そのお顔が会場の大画面に大写しになってしまいまして、あ、どうしよう、と焦りました。

たった一瞬の表情で、手強く厳しすぎる論客としての印象を与えかねません。

このように、非言語メッセージは実際の状況や本質とはちがう「何か」を伝えてしまうことがある。

ですから、リーダーの皆様、非言語には要注意なのです。

次の討論は来週、副大統領候補のディベート。ペンス氏とハリス氏の対決です。

個人的には、やはりカマラ・ハリスさんがどう話すのか、見てみたい! また、レポートできたらと思っています。

お読みいただきありがとうございました。

※この内容は、BS1NHKの生中継を観てまとめたものです。発言者のコメント等については原語からの直訳ではないため、正確さを欠く場合があります。その点はご容赦願います。

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清泉女子大学英文学科卒後、大手印刷関連会社で勤務。その後、ジャズボーカリストの夢を叶えるが、挫折。外資製薬会社に転職しマーケティング部でハードな業務に取り組む中、外国人のスピーチやプレゼンに多く触れ、日本人リーダーの発信力向上の必要性を痛感。30年以上に渡る声の経験にマーケティング、イメージコンサルティング、コーチング、リーダーシップ各論を掛け合わせ、2011年「ボイスイメージ®コンサルティング(VIC)」メソッドを開発して独立。業務で聞いたクライアントのスピーチプレゼンの数は1万回以上(延べ数)。顧客の可能性を引き出すスパルタトレーニング、わかりやすい理論と分析、柔軟に対応できるコンサルティングを得意とする。

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