米国で次々と逮捕される「千人計画」に参加した学者
自民党における、国際的なルール形成を審議するルール形成戦略議員連盟の会長である甘利明氏は、2020年8月6日の「国会リポート第410号」で、以下のように書いています。
日本学術会議は防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じていますが、中国の「外国人研究者ヘッドハンティングプラン」である「千人計画」には間接的に協力しているように映ります。
他国の研究者を高額な年俸(報道によれば生活費と併せ年収8,000万円!)で招聘し、研究者の経験知識を含めた研究成果を全て吐き出させるプランでその外国人研究者の本国のラボまでそっくり再現させているようです。そして研究者には千人計画への参加を厳秘にする事を条件付けています。
中国はかつての、研究の「軍民共同」から現在の「軍民融合」へと関係を深化させています。つまり民間学者の研究は人民解放軍の軍事研究と一体であると云う宣言です。軍事研究には与しないという学術会議の方針は一国二制度なんでしょうか。
そもそも民生を豊かにしたインターネットが軍事研究からの出自に象徴されるように、機微技術は現在では民生と軍事の線引きは不可能です。更に言えば、各国の学術会議は時の政府にシンクタンクとして都度適切なアドバイスをしています。
評価されたドイツのメルケル首相の会見もドイツアカデミーの適切な助言によるものと言われています。学術会議には日本の英知としての役割が期待されます。政権の為ではなく国家の為にです。
日本学術会議のホームページによれば、同会議は中国の「民間組織」だという中国科学技術協会とも協定を結んでいますが、中国には純粋な民間組織などありえません。実際、日本学術会議のレポートでも、中国科学技術院の経費の67%は政府からの支出、その他は事業収入だとしています。中国科学技術協会も当然、「千人計画」に関連していることは間違いありません。
今回任命拒否された学者の一人がテレビに出て、菅政権の批判を展開していましたが、「日本学術会議の学者が千人計画に協力しているなんて聞いたこともない、デマじゃないですか」と述べていました。
しかし、アメリカで「千人計画」に参加した学者が次々と逮捕されていることは、メディアでも大きく報じています。アメリカ政府から補助金をもらっている学者が、中国のために研究を行い報酬を得て、それを隠していたということで、詐欺罪で逮捕されるケースが多いのです。
- 1月28日 ハーバード大学科学・科学生物学部の学部長チャールズ・リーバー氏が「千人計画」に参加、多額の報酬を得ていたにも関わらず、これを隠蔽した詐欺の容疑で逮捕。
● ハーバード大の研究者を逮捕、中国との関係巡り虚偽の説明-米当局
- 3月10日、ウェストバージニア大学の物理学科の教授を務めていたジェームズ・パトリック・ルイス博士が虚偽の申請で有給休暇を不正取得して「千人計画」に参加していた詐欺の容疑で逮捕。
● 米司法省、千人計画に参加の米教授を起訴 偽りの休暇取得で
- 5月12日 アメリカ司法省は、元エモリー大学教授で中国系アメリカ人生物学者の李暁江が、「千人計画」に参加し中国の大学に所属していたが、連邦税申告書で海外所得を申告しなかった虚偽の収入申告を提出した罪で有罪判決を受けたと発表。
● 米エモリー大教授、中国「千人計画」参加 虚偽申告で有罪
- 7月30日 「千人計画」に参加し、夫と共謀して勤務先の研究所から企業機密情報を盗み出して中国で会社を設立していた中国出身の科学者の陳莉が、米地方裁判所で行われたビデオ会議で罪を認めた。
● 米企業機密盗んだ中国人女性科学者、千人計画参加を認める
その他、まだまだ逮捕事例はたくさんあります。また、オーストラリアや台湾でも中国による学術界への浸透工作、技術盗窃は数多く暴かれています。