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BTS(防弾少年団)痛恨のミス?中国でファン被害、なぜ韓国スターは自滅するのか

韓国の人気グループ「BTS(防弾少年団)」が中国で思わぬ批判を受けている。きっかけは今月7日に韓米親睦団体が行った授賞式で、リーダーのRMが朝鮮戦争について触れたコメント。これに対し、中国では若者が反発し、「BTSファン狩り」が起きる事態になっている。なぜBTSにこのような災難が降りかかってしまったのだろうか?

BTSの「朝鮮戦争発言」に中国が激しく反発

7日にオンラインで行われた「2020 Van Fleet Award」の授賞式。韓国とアメリカ両国の関係の発展に貢献したとして受賞したBTSは、リーダーのRMが「両国(韓国とアメリカ)が共に経験した苦難の歴史と犠牲となった無数の男性、女性をずっと忘れない」とコメントした。

朝鮮戦争で亡くなった人たちに哀悼の意を表した形だが、この直後から、中国版Twitterウェイボー(微博)で非難が殺到。「中国がどれだけの犠牲を払ったか知らないのか」「BTSが宣伝するものはもう買わない」など批判的なコメントが相次いだ。

「#BTSが中国を侮辱した」というハッシュタグが生まれ、13日までに約1万8000人が投稿する事態となっている。

SNSが炎上しただけでは収まらない。過剰反応とも思える中国の若者たちは街中でも暴走。BTSのファングッズを持っているだけでいきなり殴られたり、蹴られたりする「ファン狩り」が起きているという。

この報道を受け、日本ではBTSを擁護する意見が目立っている。

しかし、今回の騒動は韓国企業にも影響が及んでいるようだ。

韓国を代表する総合家電メーカー「サムスン電子」や「現代自動車」は、BTSを起用した広告を中国のSNSから削除した。これは中国人による不買運動を回避するためとみられ、事態が大きくなる前に早めに手を打った形だ。

BTSの発言をきっかけに、韓国と中国に大きな溝ができる可能性も否定できない。今回の騒動でBTSを擁護する意見もあるが、政治的発言をしてしまったことを軽率だと指摘する声もある。

そこには韓国の教育問題が影響しているかもしれない。韓国の教育は外国への敵愾心を煽っているという見方もあり、本人たちは気付かないうちに、相手国の国民感情を逆なでしている恐れがありそうだ。

背景にあるのは朝鮮戦争、そして米中対立 

なぜ中国人はこの言いがかりのような怒りをBTSとファンに向けているのか?その背景には、今から70年前に起きた朝鮮戦争があるようだ(現在は休戦中)。

北朝鮮が武力統一を目指して韓国へ攻め込み戦争が勃発。アメリカ中心の国連軍が韓国を、中国の人民義勇軍が北朝鮮を支援し激しく戦った。

一時は北朝鮮軍が朝鮮半島の大部分の地域を制圧するまでの戦況となるなど、熾烈を極めた戦争は開戦から3年後に休戦。朝鮮半島全土が荒廃し、両軍に多くの死傷者を出すことになる。

この朝鮮半島についてBTSがアメリカ寄りの発言をしたことで、中国の若者たちが今回怒りの声を上げたようだ。

朝鮮戦争から70年が経過した節目の年で、愛国的なムードが漂う中国。コロナや貿易における米中対立もあり、今回の騒動は韓国の背後にアメリカの影を見ているという指摘もある。

リミットが迫るメンバーの兵役問題

BTSは韓国国内で兵役問題も抱えている。「ビルボードHOT100」で韓国人歌手として初の快挙となる2週連続1位を記録したBTS。兵役免除や兵役延期といった特例を認めるべきとの声が強まる一方、いくらBTSとはいえ義務は果たすべきとの考えを示す人も多く、国内を二分する議論となっている。

韓国では満18歳以上の男子は2年間の兵役を義務づけられており、原則として28歳までに入隊しなければならない。BTSの最年長メンバーであるジンが12月に28歳の誕生日を迎えることで、兵役問題の結論を出す必要があるだろう。

現行の兵役法では、五輪メダリストら「国威発揚」に寄与した者については兵役免除が認められている。実際に2018年のアジア大会で優勝した野球やサッカーの代表チームのメンバーなど、計42人が兵役を免除された例がある。

しかし、政府は昨年11月に芸能人による「大衆文化芸術活動」は兵役免除の対象にならないとの判断を下したばかり。「オリンピックで金メダル獲得」や「世界大会で優勝」という明確な基準が示しにくいため、芸能のジャンルでは兵役免除の定義付けが難しいとみられている。

原爆Tシャツで日本でもやらかしているBTS

今回は朝鮮戦争におけるコメントで中国の若者たちを逆なでしてしまったBTS。まるで言いがかりのような中国人の過剰な反応にも思える一方、無神経なBTSが余計な発言をしたという見方もあるようだ。戦争などと関係のない授賞式で、敢えて朝鮮戦争に触れる必要があったのかという視点である。

実は過去にもBTSは軽率な行動で“やらかして”しまい、自滅したことがある。その相手は日本だ。

記憶に残っている方も多いと思うが、BTSはメンバーの一人が、第2次世界大戦中に米軍が日本に投下した原爆を描いたTシャツを着用していて大問題になったのだ。

リードボーカルのジミンが原爆Tシャツを着ていた画像がSNSで拡散。本人はどのような気持ちで着用していたのかは不明だが、多くの日本人が嫌悪感を抱くのは当然だろう。

出演を予定していた音楽番組「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)はこれを問題視、急遽BTSの出演を取りやめた。

まさにBTSがやらかした自滅で、原爆Tシャツを着るなど余計なことをしなければ、誰も傷つくことなく、みんなハッピーだったはずである。

日本では木村拓哉がウェイボー(微博)を利用し、多くのメッセージを中国人に送っている。中国人に配慮しすぎて(?)以下のように炎上したこともあるが、それだけ中国市場は重要ということだ。BTSはもう少し自重したほうがいいだろう。
【関連】木村拓哉「親中派」すぎて炎上。中国語で斎藤洋介さんを追悼し批判集まる

中国では朝鮮戦争発言におけるバッシング、韓国国内では兵役問題を抱えるBTS。人気グループゆえなのかもしれないが、彼らの周りにはさまざまな出来事が起きてしまうようだ。BTSは今、グループ最大の危機を迎えているかもしれない。

Twitterの反応

image by : Jin10secondCC BY

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