9月末、韓国政府職員が北朝鮮から銃撃されて殺されるという事件が起きた。驚くべきは金正恩から矛盾だらけの謝罪文が届き、それをすんなり韓国が受け入れたことだ。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2020年10月4日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
北朝鮮に無残に殺された韓国政府職員
9月末、北朝鮮南西部の海上にて、韓国政府職員が北朝鮮から銃撃されて殺されるという事件が起きた。
政府職員が北朝鮮に無残に殺されたにも関わらず、韓国政府は国民に34時間を公表しなかったり、公表された経緯に10時間の空白の時間があったりと騒がれている事件だ。
そして驚くことに、北朝鮮の金正恩から謝罪文が送られてきたのだ。
金正恩が生きているかどうかも私は疑わしいと思っているが、とにかく謝罪文が送られてきたという。まず、この内容について見ていこう。
金正恩からの謝罪文
25日午前に届いた朝鮮労働党統一戦線部名義の通知文を公表した。
それによると、警備を担当する北朝鮮の軍部隊が22日、男性発見の一報を受けて出動、80メートルまで接近して身元の確認を求めたが、明確な答えが得られず空砲を撃ったところ、驚いた男性が逃げるそぶりを見せたため行動準則に従って射撃したという。その後現場に接近したが男性が乗っていた浮遊物に大量の血痕を確認したものの男性は見当たらず、浮遊物だけを防疫規則に従って燃やしたと説明している。
通知文は「北南間の信頼と尊重の関係が崩れないよう、必要な安全対策を講じる」としたうえで、「(韓国の)文在寅(ムンジェイン)大統領と南の同胞たちを大きく失望させたことに対し、非常に申し訳なく思う」とする金委員長名の謝罪の文言を載せた。民間人を射殺したことによる国際社会からの非難を回避し、正常な国家であるとアピールする狙いとみられる。
これが9月25日、毎日新聞に掲載された謝罪文の内容である。
まず、北朝鮮軍が職員を殺した理由は、男性が逃げる素振りを見せたこと。さらに現場に接近したが男性がいなかったことで、浮遊物だけ防疫規則に従って燃やしたとしている。
両国の言い分に奇妙な食い違い?
北朝鮮と韓国が述べていることに対して、かなり大きな食い違いが生じている。
つまり、北朝鮮は遺体を焼却していないという。しかし、韓国側は遺体を燃やされたと発表している。
仮に北朝鮮が遺体を燃やしてないなら、近くの現場を捜索すれば遺体は見つかるはずだ。しかし、現場から遺体は発見されてない。
しかも、韓国側は政府職員の遺体を捜索しようと船を何十隻と出したところ、北朝鮮は「別の芳しく事件を予告させる」と海上警察庁の遺体捜索活動を批判したのだという。つまり、もう一度「職員のように射殺するぞ」との警告である。
この態度は、先ほど紹介した謝罪文とはまったく異なるものだ。